ふたりの、シンジへの愛

 

まずカヲル。

ミサトの手を払いのけたことのあるシンジがカヲルに触れられても拒まなかったのは何故か。

カヲル「人は寂しさを忘れることで生きていける」 (24話)

ゲンドウ「人は思い出を忘れることで生きていける」 (15話)

似ている口調、そしてポケットに手をつっこむ癖・・・

シンジはカヲルの中に自分の父親を見たのかもしれない。
勿論、深層心理の中でかもしれない。顕在化した意識の中でかもしれない。

 

「好意に値するよ。好きってことさ」

このセリフに秘められた意味こそ、ゲンドウがシンジに一番言いたかった言葉なのかもしれない。

おまえを嫌ってなんかいない。本当は息子として愛している。

カヲルはまるで父親の本当の姿を伝えるためにシンジの元に現れた存在、、偶然かもしれないが、、とも思う。

「僕は君に逢うために生まれてきたのかもしれない」

 

 

そしてレイ。

「あなたは死なないわ。私が守るもの」 (6話)

このセリフは、初号機の中に取り込まれている母:ユイの心に重なるものがあるように感じる。

実際、どんな危険な目に遭ってもシンジは死なない。それはユイが守っているから、とも考えられる。

 

状況を的確に判断し客観的にも最適な手段を選び、与えられた命令を冷静にこなす、絶対的な父性を持つレイが時折見せる柔らかな母性。

息子である自分よりも父に近い存在だった彼女に嫉妬の念を抱いていたシンジ君は、そういう彼女のはかなさを垣間みることにより、彼女の中にユイを見出していったのではないだろうか。

 

 

 

そしてふたり。

「君と僕は同じだね」

そう、ふたりとも同じ、シンジ君を温かく包み込む存在。

ゲンドウとユイがシンジを愛していたのと同じように、このふたりもまた、シンジ君を心から大切に思っている存在同士 、、ということだったのかもしれない。

 

 

カヲルとレイはシンジの14歳の父親と母親だったのかもしれない。

 


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