言葉の重み

 

シンジの首絞め行為。

他人との接触を避けていたはずであったシンジは、いざ、人々が補完されて混沌な状態になると、
「こんな世界は望んでいない」、
「また皆に逢いたい」、
「たとえ 『他人』 という区別ができても」
と、再び、もとの世界に戻ることを望みました。

しかし、いざ、もとに戻って他人 (アスカ) が横にいることを知ると、またおそれを抱きます。

アスカは他人だ。また自分を拒むのではないだろうか、という恐怖から他人であるアスカを殺そうとします。

しかしアスカはシンジという存在を受けいれました。

そこで初めてシンジは自分のした事に気付き、鳴咽の声をあげます。

そして「気持ち悪い」というアスカの言葉。

これは今まで見下していた存在である人間を憎からず想ってしまっている自分に向けられた言葉なのではないでしょうか。

なんでこんな奴なんかと
― どうして分かり合ってしまったのだろう― 「気持ち悪い」
・・・一見、アンハッピーエンドに見えがちのこのシーンも、考えようによってはかなりゆがめられたハッピーエンド、ともとれるのかもしれません。

 

ファザーコンプレックスを持つ自信喪失な男・シンジと、マザーコンプレックスを持つ自信過剰な女・アスカ、という二つの相対的な存在がわかりあえる瞬間を描きたかったのだと思います。

しかしあくまでこれは私だけの考えに過ぎず、見た人の数だけ物語は存在するでしょう。

これはこうだ、というはっきりとした模範解答は無いのでしょう。

 

ところでここでは多くの掛け言葉が多く使われています。

シト新生・・・死と新生&使徒新生

リバース・・・Rebirth(再生)&Reverse(逆行)

「逆行」とは、人類がもと戻る、すなわち、混沌に還ってゆく ・・・という意味にも取れるかもしれません。

 

やはり、多くの意味を持っているように思います。

いくらでも「答え」など創れるのでしょう。

 


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