伊藤左千夫
相思の情を遂げたとか恋の満足を得たとかいう意味の恋はそもそも恋の浅薄なるものである。
恋の悲しみを知らぬ人には恋の味は話せない
「政夫さん……私野菊の様だってどうしてですか」
「さアどうしてということはないけど、民さんは何がなし野菊の様な風だからさ」
「それで政夫さんは野菊が好きだって……」
「僕大好きさ」
九十九里の波はいつでも鳴ってる、ただ春の響きが人を動かす。(略)
秋の声ということばがあるが、九十九里一帯の地には秋の声はなくてただ春の音がある
正しき夫の愛が加われば女はどことなくうつくしくなるものらしい
何かコメントがあれば。