小さな世界 > 第1章「妃羽」
そっちの方が?
魏家の門に近い森の中。
少し汚れながらも、汗をかいて妃羽は走る。
冷静に考える妃羽。
ひんやりとした夜の空気で頭が冷静になったのか。
「(このまま、何処か人のいる場所を見つけて、事情を話して・・・。
私の意思を伝えてもらおう。伝えよう)」
彼女は裸足のままガサガサと走った。
途中、さすがに足の裏が痛くなり、そっと歩いて行った・・・。
1時間後。
1、使用人たちに言えば何とかなるかも、、と屋敷に戻る
2、只ならぬ妃羽の様子に暘谷が心配
3、ずーっと事情を聞く
4、いまここ
暘谷「俺はそういうの、踏み込めないんですけど、あえて言うなら
そういうのは我慢して下さい」
青くなる妃羽。
相性が良くないんでしょうね(ぼそ
きっと ずっと一緒だから、という条件があったから
暘谷「(そういうのが大丈夫だったんだろうな
あーやだやだ こういう話題)」
結局また来られたら。
またあの上海のアパートに。
死ぬ・・・
両手で顔を覆う妃羽。
妃羽は肩を落とした。
しくしくしくしく
しくしくしくしく
え・・・
さめざめと泣く妃羽に暘谷は真っ青になった。
暘谷「(俺そんな変なこと言ったー?)」
普段から言葉づかい悪いのに↑
妃羽「もうやだ・・・こういうの『すれ違ってるだけ』『考えすぎよ~』
なんて言って誰も分かってくれない」
しくしく
暘谷「(参った・・・)」
仕方ない。
暘谷は言った。
「えっと 俺の嫁になります?」
妃羽「え?」
バッと顔を上げる妃羽。
暘谷「俺のとこいれば威俐様大丈夫でしょう」
言っちまった・・・と暘谷は言った。
暘谷「どうせ監視?出来るし
俺のとこなら来ないでしょう 多分だけど・・・」
ぽかーんとする妃羽。
暘谷「ふぅ~。・・・俺は。
元々誰とも一緒になる気は無かったし、
あなたがいてもいなくても一緒だし」
・・・
空気が柔らかくなる。
汗だらけの体がいつの間にか乾いていることに気付く妃羽。
あ、と気付く暘谷。
威俐『勘が鈍ってしまったからなんだ!』
暘谷は焦った。
暘谷「(なんでこんなことに・・・)」
今日の運勢は多分俺最悪なんだろうな、、と思う暘谷。
(現実逃避)
そのまま、部屋の外で待機していた中の、、花宇と愛衣と一緒に
威俐私室に向かう妃羽。
し~ん・・・
しばらくの沈黙。
威俐「あいつは女嫌いだ 特等の」
でも
コンコンッと机を鳴らして言う。
威俐「その方が幸せなのかもな」
あなたの
厭な部分を見ないで済むならそれで、、
と思う妃羽である。
威俐「私の方が愛情は上だよ。
それだけは分かって欲しい」
何なのこの急展開は。
えーっと、、と思う妃羽。