小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
吸引
夏彦の声が響き渡った。
「XXX!!XXX!」
腕を引っ張られた清子。
清子「似合わない?」
のんびりと言う・・・。
夏彦「おまえは娼婦か!
娼婦って言葉はあれだけど
やめろそんな!」
夏の市内のパーティ。
お祭り、から少し進化した「お祭りパーティ」になった、
夏彦と清子の市。
赤を縁取ったチャイナドレス、に眼鏡。
貸衣装の中から選んだものだが、、
清子はそれを着こなした。
あまりに似合うので注目を浴び、男性の目はほとんど清子に釘付け、
後からのんびり来た夏彦が怒鳴り散らす顛末となった。
「和風、洋風、中華、だったら和風選ぶだろフツー!」
真っ赤になりながら清子の手を引っ張り、衣装室(小屋)に連れてゆく夏彦。
ぴかぴかと明かりがゆらめき、音楽が聞こえる。
食べ物の匂いの中にひときわ目立って甘い香り、、綿あめの匂いがする。
清子はスタイル抜群で、何かしら体の線がほんの少しでも出るような服を着ると、、
街中で泣き出す女性が現れるほど・・・スタイルがとても良かった。
普通なら「そんなこと有り得ない」と誰もが信じないため
夏彦は骨を折った。
泣き出す女性というのは「彼氏や旦那がポーッとなって見る」&
「清子に全くその自覚がない」というのがあるからなのか・・・
清子「じゃあ、、私はそうは思わないのだけど・・・
お兄ちゃんが一緒にいればいいじゃない?」
とジャージ以外の服装で歩く時は同伴、、(そこまで!)ということになった。
現。
「おにーちゃんてば大袈裟よ。色んな人のこと見てるんだって」
夏彦「おーまーえーはー。自覚が無いんだよ。
これっ(和風のだぼだぼの衣装)、これ着ろ」
貸衣装の見本の中のひとつを指す夏彦。
「暑いのにぃ・・・」
諦めて衣装小屋に入っていく清子。
・・・?
「(あいつ別にムネ出てないしそんなどうって訳でもに無いのに何でだ?
俺には世間の目ってのはよう分からん)」
パイナップルジュースを飲みながら夏彦はふぅっとため息をついた。
しばらくして、見事同伴でふたりは練り歩いた。
夏彦「(毎回毎回見てないといけないってのは疲れるぜ・・・)」
ソフトクリームにゼリーをかぶせ、更に綿あめをかぶせたもの
(トリプルキャンディー)を食べるふたり。
チャンカチャンカ♪
ポーンポーン♪
ピロロロロ♪
周りの音楽がせわしなく聞こえる。
ふたりは思った。
ずっとここにいるが、こんなに音楽が流れているにも関わらず、
全く聞きづらくない。
シャカシャカッ
ポコポンッ
しばらく聞き惚れるふたり。
女性『こんな時間に御免なさい
○月に演奏会があって。
午前中お留守だったから』
女性『音楽はやはり良いですね』
バチッ
夏彦と清子は顔を見合わせた。
・・・?
理々という、あるアニメの中の女の子、、の空想上の母親。
清子「が、あんな話してた、よね?(汗)」
おーっ!
さぁやんじゃーんっ
わらわらわら
夏彦「うげっ」
目を大きく見開く夏彦。
座っていたのだが、ゴロッと後ろにすべりそうだったのをピッと止めた。
夏彦、清子のご近所さん&同級生たちであった。
女の子「はっれぇ?眼鏡付けてなかった?さっき
可愛かったのに」
男の子「兄妹で来てたんかー?誘ってくれれば良かったのに」
女の子「護衛ってやつよー」
男の子2「やっぱあの女の子ってさぁやんだったのか」
わいわいする雰囲気にため息をかみ殺す夏彦。
女の子「ねー眼鏡ー」
女の子2「さっきのーあの可愛い格好してくださいよー♪」
夏彦「ダメ!!!」
女の子「確かにねー そこまで普通騒がないよねー
私も気になってた」
男の子2「たまたま変わったヤツがいるんだって思ってたけど」
女の子「私もー」
・・・
夏彦は汗をかいた。
「(・・・そうだよなやっぱり)」
有り得ないほどの、『清子への注目』に大きな疑問符が浮かぶ彼。
「(どうでもいいが、変な虫がついたらなぁ
こんなガキのどこがいいんだか 分かんねー)」
妙な磁場が発生してるだとか、何かオカルトじみたことがある・・・
或いは心霊的な、呪いのものが作用しているだとか。
多分どっちかだよな、と真面目に考える夏彦。
・・・
「(さっきの『音楽』、、近いぞ)」
夏彦はつぶやいた。
「そうか!」
??
一同が夏彦に振り向いた。