小さな世界 > 第5章「知られざる」
中途半端な孔雀
その夜、妃羽はチャイナ・ブルーを呑んでいた。
お手製で作ったチャイナ・ブルー。
少し時間が経って、そっと自室のドアを開ける妃羽。
しー・・・んとした廊下。
少し怖い。
妃羽「(少し前のあの夢(未生命)を思い出してしまう)」
・・・
・・・
ポーン.......
1回しか鳴らさない。
ある部屋の前に立っている妃羽だ。
沈黙。後。
ガチャッ
1、お酒の匂いがする
2、孔雀の服を着ている
3、お化粧などお洒落をしている
呆れながら頭をポリポリ掻く威俐。
とっくにナイトガウンを羽織っている彼。
「こ、この前言っていった、バグの不安定だと思います。
今度は私が『物質』の方に・・・」
威俐「・・・」
だ、だから孔雀だとかお金関係のものを着たくなったり
「こ、こんな風に会いたくなったり」
とっても非常識だし、迷惑極まりない行動である。
時間的にも。
そしてアポイントメイントも取っていない。
威俐「(バグか・・・何だこの力は)」
掛けられている魔法の強さを噛みしめる彼。
・・・
あの
「き、綺麗でしょう、、か」
そんな場合ではないのに、アルコールの影響か変な思考をする妃羽。
「全然」
キッ!と睨んで言う威俐。
そりゃそーだ。
アルコールの匂い、不快にさせているだろうなと妃羽は思った。
しかし彼女はふわふわした気分になっている。
妃羽「この、、豪華な孔雀の衣装、華やかなお化粧・・・
見てもらいたかった。
・・・何かの力でしょうね」
とりあえず彼女を部屋の中に入れる威俐。
疲れる顔で、もともとあった妃羽のパジャマを彼女に着せた。
妃羽が壁にぶつかりそうになっていたのでサッと肩を抱いて受け止め、
酔いと眠さで倒れそうになっている彼女を介抱した。
妃羽「お洒落した姿、見てもらいたかった・・・
突然来たのはあれだけど」
酔いからなのか言葉づかいがくだけている。
ダメだこれ・・・
軽くそう思い、彼女を寝所に連れて行く。
威俐「(何なのこの積極性。今までと違う・・・)」
もちろん『力』に拠るもの、なのであるが。
すぴー
突然夜中来て、早速寝だす妃羽。
とても迷惑な行為である。
威俐「(私は今後、『精神』寄りになるのだろうか)」
この力無しに、自分の意思で動きたい。
ふと考える彼。
「(私は『力』なんて無くても、妃羽を愛してた)」
スー スー スー
寝息をほとんど立てない妃羽が寝息を大きめに立てている。
・・・
妃羽の元へ行く威俐。
少し経ち、電気を落としてそのまま掛け布団をかけて威俐は寝た。
威俐「(すごい寝息)」
次の朝、あまりにも早く妃羽は起きた。
アルコールのせいかめまいがする彼女。
軽くシャワーを浴び、再度パジャマを着た。
私服は孔雀しかないので、、である。
また横になって休もうか、とベッドの中に入る。
威俐が寝ている。
今何時だろう?と時間を確認すると(起きた直後も確認したが)
まだ4時半であった。
昨夜の『すごく迷惑な出来事』を思い出し、申し訳なさで青くなったり
恥ずかしさで赤くなったりする妃羽。
妃羽「(力、、のせいなんだよね。あ、そういえば全然関係ないけど
ピアノ習ったのが遅い私が、作曲も出来るようになったのって。
『音楽にまつわる力』があるから、とか・・・?)」
突然頭が回る。
威俐「んー・・・」
突如威俐が寝返りを打った。
ハッとして妃羽が振り返る。
威俐「そう、だよ・・・」
ほとんど聞き取れない声。
・・・
固まる妃羽。