小さな世界 > 第7章「交錯」
音楽の『弟』
暘谷邸、離れ『弟』
本邸:『兄』
離れ:『弟』
召し使いを野菜名にする暘谷である。
説明は要らないだろう。
愛称を付ける理由は「知らない人が覚える時に覚えやすいように」だ。
(案外優しい?)
ざかざかとせっかちに妃羽の手を引っ張り、『弟』に連れて行く暘谷。
離れはとてもキレイで、本邸をそのまま小さくしたような感じであった。
暘谷がそのままピアノ兼音響室に妃羽を連れて行こうとしたが、
「メシ済ませた?」と彼女に聞いた。
食べました、と言いながら
「(妙に優しい・・・?)」
と疑問に思う妃羽。
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ドンッ引きする妃羽。
暘谷は『森林』~『河川』までのCDのオリジナルカバーを
有名カメラマンに頼んで撮ってもらった写真を元に作成した・・・のだそうだ。
どれもこれもお金を掛けているだけあって、美しい。
妃羽は頑張って言った。
「ここここんなに素晴らしい曲じゃありません。
写真と中身が合って・・・ない」
ゴソゴソと何かを取り出す暘谷。
何かを手に取り、立ち上がって妃羽の方を向いた。
暘谷「これ、『業火』の歌詞付きなんだけど歌える?」
?
へ?
突然の申し出。
妃羽はたまに、暘谷の元にいた時に良く歌を歌っていた。
その都度、口にこそ出さないが「こいつは天才だ」みたいな顔をしていた暘谷。
妃羽はもちろんその申し出に乗ったが・・・
こんなに過大評価してくれる暘谷をがっかりさせてしまったら、、と緊張でガクガク震えた。
数回練習をして、さぁ本番を歌う!
となって深呼吸を・・・
となった瞬間
「もういい!完璧だ」
と暘谷が言った。
は?と妃羽が青くなった。
彼曰く、良いのを歌われたのに、それ以下のを歌われると『上書き状態』になってしまうので、
このままでいい。とのことだった。
・・・
白髪になった妃羽。
妃羽「あの、練習の時のが、良かったんですか?」
(無視)
「じゃあ『森羅万象』を聴こう。ちょっとこっち来い」
ジャイアンだなー(国違う)と思いながら暘谷の誘導する音響室に行く妃羽。
とても質の良い音響で『森羅万象』が流れる。
暘谷がゆったりと椅子にもたれながら、略な顔をしている。
さすがにどうしていいか分からなくて何処かにちょこん、と座る妃羽。
「森羅万象のCDカバー・・・何がいいかな」
あ
妃羽は気付いた。
暘谷さんは、『主』の思いに敏感なんだ。
『森林』『業火』『挑戦』『山岳』『財宝』『河川』・・・
主の分身である私と繋がった威俐様の『森羅万象』
カタン.....
暘谷がやっと席から立ち上がった。
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ベートーベン:ピアノソナタ第14番「月光」
暘谷の好きな曲である。
というより、「これしか弾かない」と心に決めている曲である。
(他はネコ踏んじゃったも弾けない)
妃羽は後ろで聴きながら、
「(嗚呼、、月の女神ダイアナ、もしくは月読命(つくよみ。月の男神)みたいな・・・
本当に暘谷さんの『月光』っていいなぁ・・・)」
といつも通り感動していた。
どうせ妃羽がもう1回弾いてとリクエストするので、続けて2回目を弾く暘谷。
ふわぁん.....
部屋に、窓から風が入って来た。
レースのカーテンがふわっと舞う。
・・・
流れる『月光』。
どうしてなのか。
みなを思い出すのである。
この曲を聴くと―・・・。


