小さな世界 > 第7章「交錯」
違うもの
穏里は言った。
「あなたはこの世界を楽しまねばならない
楽しんでないでしょう。『後ろの存在』が気になって」
ギクッ
固まる妃羽。
何らかの大きなクッションをひざの上に置いて安心したくなった。
「あなたにとって、我々は『人形』に過ぎない。
あなただって同じだよ
・・・この世界の何者かの分身?人形・・・。
だが、分身は分身でも、頂点にいる何者かの分身なんだ」
ユウが口を出す。
「おまっ、そんな恐がらせなくても・・・」
穏里「悠士・・・」
呆れて言う悠士(ユウ)。
「こんなんだからこいつ、いつも看護師さんの優風(ようふぁん)さんに怒られてるんだ」
看護師さんてあのオネエのあの人かなぁ?
と思い出す妃羽。
穏里は言う。
「私は怯えさせているのではない。誤解しないで下さい。
・・・・・・頂点にいる何かが有るとするならば『慈悲』と『残酷』があるはず。
そうでないと、世は成り立たない」
・・・
正しいもの、正しい事柄、善、だけでもいけない。
善を善たらしめるものは、「悪」。
悪は善を善にするために必要。
妃羽「・・・」
確かに・・・
全部が全部「善」になっちゃったら「善」、ていう概念がなくなってしまう。
穏里「長くなってしまいましたが、仮に妃羽さんが『分身人形』だったとすると。
「悪」の部分だって出る。
分身の人間ですからね・・・」
悠士(ユウ)が立ち上がる。
「そっ、それで妃羽が夜な夜な徘徊してるってのか?」
・・・
穏里「・・・トロール(未生命)に対する、『その存在の怒り』が妃羽さんを通して出ている。
悪、のエネルギーを使って、ね」
妃羽が叫んだ。
「あのっ、威俐様に迷惑を掛けたくないのです。どうすれば・・・っ」
妃羽を一瞥し、また考え込む穏里。
立ち上がり、ミニ・キッチンでジュースを入れてくる悠士(ユウ)。
カチャッ
何故か穏里だけコーンスープだ。
穏里「俺、ウサギさん柄が良かったな・・・
クマさんはいまいち」
えーと
妃羽「どう、すればいいのでしょうか。ぶ、ブレスレットだって・・・」
左手のブレスレットを出す妃羽。
!
驚いた顔でそれを見る穏里。
「これを・・・一体・・・何処で・・・」
あ
「ラーチャさんていう・・・
あっ」
言葉を止める妃羽。
ラーチャは「主」だということをこの前知ったのだ。
説明を聞いた後。
鋭い目つきで考え込む穏里。
「・・・楽しむことに罪悪感を感じている。
幸せを受け入れられない、
トロール(未生命)から攻撃を受け続けている
この世界の様々な存在、未存在が、あなたの足を引っ張っている。
だから『そういうイヤな気持ち』になるのでしょう
本気で怒っている。
あなたを通して本当にその・・・存在は・・・」
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ユウ「細かいことは後でちゃんと。
とりあえず俺の名前は『于 悠士(ゆう ようしー)』」
そう言っていた人間ユウ。
穏里は厳しく、「これは現実の話ではありません。
オカルティックなもので、『こう考えればラク』というものです。
本気にしないように」
と言った。
妃羽は思う。
「(立場上そう言うのよね・・・)」
威俐「二元論?」
妃羽「男と女、善と悪、子供と大人・・・
主、は全部持ってる気がする」
◇小さな女の子(子供、女)
◇凛々しい男(大人、男)
威俐「確かに・・・主の男、は恐かったな」
微笑んで言う威俐。
・・・
「それが、『悪』・・・『残酷』の部分・・・」
窓をそっと見る妃羽。
『慈悲』がかろうじてあるから存在出来ているこの世界。
G層。
「紐は、要らない。
ずっと抱きしめてる」
穏里にもらったソフトな紐を使わず、妃羽を抱きしめる威俐。


