短編集Tanpenshu
異世界へTo another world
- 第2話:承
二学期。
靖子「まーだあっついね」
ガタッガタッ
下校時、クラス中の机を整理整頓する結衣。
靖子「結衣、まーた揃えてんの。几帳面すぎ」
「おーいおまえら、下校の時刻過ぎてんぞ。さっさと帰るー」
教諭が遠くから3人に声を掛けた。
千花「やだ、急ご?」
・・・
そういやさ
靖子「アンタ木原先輩と最近いないよね」
靖子が声を掛けた。
結衣「・・・私も思ってた。どうしたの?」
千花「ちょ、喧嘩しちゃって」
?
靖子「(喧嘩なんてする間柄だったっけ?
・・・まぁ冷戦期間な訳だ)」
結衣「木原先輩のこと、なんか、あるの?」
バッ!
千花が振り向く。
「ち、違、せ、先輩が勝手に」
靖子と結衣は全く動じずに千花を見た。
波扇神社。
結衣「いいのかな、神社で話したりして。雑談か・・・」
靖子「いいんじゃないかな。気にするこたないよー
何か、呼んでる気がしたよね」
結衣「した?私もー」
靖子「やっぱり?一緒!」
寒気がする千花。
「(暑いのに寒いってどういう意味)」
・・・・・・
千花は言った。
趣味でやっているんだと思った。
しかし次第にそれが「アウトだろう」っていう領域にまで行ってきた
その時付き合っていた男の子に相談したら「莫迦じゃないの?」と笑われた。
靖子&結衣「莫迦じゃないの、って?」
千花「おまえまだ知らなかったのー?木原先輩はおまえのこと・・・って」
有り得ないと思ったのよ、、と千花。
(靖子と結衣は固まっていたが無視した)
事情があり千花と悟はひとり暮らしで、隣同士に住んでいるのだが・・・
1、失恋した、もう 死にたいー!と隣の悟の部屋に駆け込み、「受験だ。非常識もいい加減にしろ!」と散々ぶっ叩かれた後に
夜遅くまで話を聞いてもらった。
2、部屋に幽霊がいるー! このままじゃ死ぬー!と悟の部屋に駆け込み、 確かに一晩泊まってずっと様子を見てみたら霊がいるっぽいと。
有名なお寺の住職さんを招き、お祓いをしてもらった。
3、夜桜を観に行きましょう~!と午前1時半に悟を起こし、桜を観に行った。
千花はこれらをとつとつと話し、じわ~っと涙を浮かべて
「4、夏の夜に心霊スポット行きましょう~♪って午前2時に起こす
・・・予定だったのに」
こんなことになってしまったから心霊スポットに行けないよ。
と言った。
靖子「いまさらツッコまないけど、そ、そんなことまでして?
今まで何とも思わなかったの?(汗)」
結衣「他人様のことにどうこう言うつもりないけど」
しゅるりらら
しゅるりらら
ビクッ
3人がバッと音の方に振り返った。
そこには大変美しい女性が全身に白蛇をまとった姿でいた。
「うっ」
「(うおぉおぉぉ)」
普通、神社で、しかも白蛇なんてまとってたらびびって足がすくむだろう。
目がちかちかする3人だ。
女性は
「ひとり、頂くよ。あ、一瞬だけ
ここの神社に来てくれたお礼ー
広めといてね!」
と、かっわいい~v と誰もが思うような可愛い声で言い、
(でも言い方が幼い)
くるりと背を向けた。
「夏の日の、想い出!」
3人はずっと目を点にしながら呆けていた。
全然、怖くも何ともなかった。
『ひとり、頂くよ。あ、一瞬だけ
夏の日の、想い出!』
・・・
「ちょ、大丈夫?」
「顔、青い?感じ」
靖子と結衣が千花に声を掛けた。
さわっ・・・
普通なら暑くて湿気たっぷりのはずの風が
不思議と涼しかった。
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