短編集Tanpenshu
異世界へTo another world
- エピローグ:紫野
千花「先輩!、足速いですよ!」
初秋、帰り道を悟と共に歩いてゆく千花。
悟「おまえが遅いだけだ」
もう!
偉そうに!
「まーそういうところ嫌いじゃないですけど」
小走りで悟を追い掛ける彼女。
靖子「おっすぅ!ふたりとも仲良さそうじゃーん?」
後ろからクラスメートの靖子がふたりに声を掛ける。
結衣「あ、千花(嬉しそうに)。可愛くなったー」
靖子「ん?」結衣を見る。
パンッと軽く手を叩く結衣。
「木原先輩お手製の髪飾り!」
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木陰で休む悟と千花。
「器用ですもんねー。ほんっときれい」
何度も見る千花。
悟は誰でも作れる、と言った。
かっこつけ!
千花はそう言って立ち上がった。
千花は悟を見た。
「(この人って、、大樹みたい
何かこう・・・)」
初秋なのに、夏の香りがする。
悟が夏の象徴のような、大樹のような雰囲気を出しているからだ。
薄紫の野原をふたりで歩き、、
千花は悟に訊いた。
「あのー、木原先輩は『夏!』って感じなんですが、
私って四季で言うといつ、、かなぁ えと」
悟は後ろを振り返り、(やはり足が速い)千花を見た。
悟「春、、かな」
千花「春?」
声を大きくする彼女。
「かわいいから」
すげなく言って、背を向ける悟。
・・・
悟は乾燥剤(しかも強力)のように乾いている。
千花「あのね、先輩『夏の樹』でわ、わた、私が『春の花』
えーと昔のティーンズ向け小説で読んだ単語、、なんです」
千花「お、お揃いでいいですね
なんかいい!」
頬を染める彼女。
「ん。行くぞ」
丸っきし興味が無い感じでズンズン先に進む悟。
・・・
「賢木」
悟が呼んだ。
悟「秋と冬ないな」
!
驚く千花。
秋は、、春とセットですから。えーと、私が。
冬はー、荘厳?厳冬?何か凛々しい?感じがするから先輩!
悟「しゃべりすぎだ」
冷たく言い放つ悟。
「(秋と冬ないな言ったくせに・・・
こわい・・・)」
程なくして、家に着く千花。
「それじゃあまた!」
満面の笑みで手を振る。
もじもじもじもじもじ
もじもじもじもじ
悟は思いっきし挙動不審になった。
・・・
「・・・(汗)」
千花「(先輩・・・したいのね。お別れのキス)」
コマンド
流す
→ 嫌いなのか。もういい。と言って避ける
(すげー面倒臭い)
叶えてあげる
→ ん。もういい、と言ってすげなく帰る
直球で聞いちゃう
→ 何を言っている、と言って呆れて帰る
(すげー恥かいた気分になる)
おあずけです!と言う
→ 何だと?と言ってビンタ
千花「(どのコマンドにしようか・・・)」
うっすら笑えてくる彼女。
長い沈黙。
「してくれないの」
偉そうに悟が言う。
「こ、コマンドが分かりません!」
えーと
・・・
えいっ!
千花は悟の作ったキレイな髪飾りを投げた。
キャッチする悟。
「これが?」
悟が言う。
「それがキスです!」
だからぁ
それ、返して。
「投げて!」
千花が言った。
「やだ」
ニヤリと笑って、背を向け、去って行く悟。
あー!
急いで彼を追う千花。
彼に追いつき、「返して」と言った瞬間に
その髪飾りは落ちた。
(了)
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