読み切りOne-shot novel
ホラーHorror
- 幻影
Y県Y市。
うつ病でしばらく休養していたAさんという女の子(当時19歳)がいました。
だいぶ病状が良くなったので、深夜に会社にお夜食を配達するというアルバイトを始めました。
その相方がいたのですが、その人がB君です(当時24歳)。
そのAさんはとてもキレイな子で、佐々木希を可愛い系にした感じでした。
その人は弟さんがいたのですが、弟さんが怖い組織の喧嘩に巻き込まれて凄まじい亡くなり方をした後、そのショックで「言葉が上手く話せなくなる病気」に罹患してしまいました。
しかしその代わりと言ってはなんですが、見えないものが見えたり出来るような不思議な力を得るようになったそうです。
弟さんの力が宿ったのかもしれません。
Aさんは美しい子だったので、どこへ行っても皆が目をハートにして迎え入れていたそうです。
B君はお兄さんの気分だったので、悪い虫が付かないように、、と見守っていたそうです。
さて。
ある日、少し変わった名前の会社に配達に行くことになりました。
Aさん「私、行きたない。悪いこと起こりそな気する」
とても青ざめた顔で言うAさん。
B君はお兄さんの気分とはいえ、Aさんのことを多少女性として見ていたのでしょう。
「良い格好見せるチャンス!」とばかりに
「俺が守ってあげるから大丈夫だよ!」と鼻息を荒くしながら誘いました。
見事に灰色の何とも言えない会社。
B君は「こりゃヤバイ。誰かガタイのいいのを連れてくれば良かった」と
大変情けないことを考えていたそうです。
ガチャッ
机に「お金↓」と書いてある紙の下に料金が置かれています。
A、B「あの、、○○配達です」
部屋の中の人間たちは土気色。
誰も「一瞥もしない」。
全員からシカトされ、どうしていいか分からないAさんとB君。
仕方ないので机に配達品を置き、料金を取り、「失礼します・・・」
と去るふたり。
・・・
突如、Aさんが「私残したことがある!」と先程の場所へと走って行きました。
ぽかーん、、とするB君。
「私、やり残したことがある」なんだろうか。とぼんやり考え、
廊下で壁に背を預けて待っていたそうです。
しかし彼女はやってきません。
・・・?
怖かったのですが、先程の場所にそろそろと行くB君。
誰も無い部屋。
B君「・・・?す、すいませーん!!!!」
ぼーっとしてる暇もなく叫ぶB君です。
まもなく、髪の毛が白髪になったAさんがやってきました。
後ずさりするB君。
ヘドロのような感覚が襲います。
「御免なさい・・・」
昔、B君はAさんが少し通常の人と違うのを知って、
自分より下に見てしまい、男性が最も女性にしてはいけないことをしてしまったのです。
当然、普通の人と違う(言葉を上手く話せない)Aさんの言うことなど誰も信じません。
女性は特に美しいAさんを妬み、「モテ自慢したいだけじゃん」と陰口を叩きました。
そんな酷いことをされ、
誰からも信じてもらえず、「B君を陥れる最低な人間」の烙印を押されたAさん。
Aさん「私、行きたくないって言ったのよ。だってここは霊力が高いんですもの。
下手したらあなたを・・・あの世に送っちゃう気がしてね」
微笑するAさん。
B君は思い出しました。ここは有名な悪い意味でのパワースポットなのです。
白髪は、、霊力の極まった状態です。
老人ほど力が強いのはそのせいです。
Aさん「やり残したことがある、って言うまで忘れてたの・・・
忘れずに『取れて』良かった」
あの暗い一瞥もしなかった気味の悪い人間たちが目だけ光らせながら
ズル・・・ズル・・・ズル・・・
・・・ズル・・・ズルル・・・ズル・・・
と、
足の裏に何かねばっこいの付けてるのか?と思われるような音を立てながら近付いてきました。
B君は覚悟を決めました。
「君の言い分は分かった。分かったけど、人間はそんなに強くない・・・。
弱者を他と違うように扱って、、接してしまう。というのはどうしてもある。
・・・俺を含めてな
どうせ、、悪い処に堕ちるんだ。
手を下す必要はない。
俺だって君の立場になったことがある。
どれだけみじめだったか。
相手は相手をいじめてるなんて微塵も思わないんだ・・・」
弱い者いじめをする。
自覚なく!
そんな人間に障るな!
主任「誰があなたの言うことなんて聞きますか!
黙んなさい!」
B君「Aさんはどこですか・・・」
主任「るっさいわね!!いい加減にしてよ!私たちには義務があるの。
ふざけてる場合じゃないのよ。もう明日から来なくていいわ」
他の人間「こいつオタクだからなー(汗)
ゲームとかアニメの方が好きだからとうとうそっちのものが見えちゃったとか」
ずっとおまえひとりで配達やっててたまってたんじゃねーの。
ストレス
・・・的なことを言われるB君。
Aさんは僕と一緒でした。
ずっと・・・。
佐々木希を、、あの人を可愛い系にした感じで。
俺昔あの人に酷いことを・・・。
皆だってあの人の言うことを信じてあげずに・・・
ぶつぶつ言うB君は病院の心療内科に連れていかれ、3ヶ月後に退院。
よう!B君!今日もヒゲ濃いね!
B君「ようCちゃん、今日も可愛いね!」
C「あはは、最近ちょっとハゲてきたんじゃないの?」
あっはっは~♪
「褒めるなよう~~♪」
麻雀漬けになっているB君。
駄目よ、物騒なこととかに巻き込まれたら。
(麻雀=物騒だという先入観)
B君「Cちゃんてさ、Aさんに似てるんだよね」
あっはっは~
「例の幻影の恋人?」
B君「あっちの方がず~っと可愛かったんだけどね。
あ、御免(笑)
何か雰囲気がね」
C「想像の中で私をどーのこーのした訳」
B君「いや、あくまでAさんかな・・・」
その、、B君の背中にはもやがかかっているように見えたそうです。
B君。
・・・
「今年中に何かB君がさ・・・何かこう。
嫌な予感がするっていうかね」
それもそれで運命だよね。
灰色の目で言うB君。
最後に言うC。
Aさんのこと、まだ好き?
「どうだろうね」
映画とは違うんだな。と思うC。
悲しい事実も何も無かったんだよ。
何もかも・・・
全部夢なんだよ。
幻影の恋人を本気で好きにならなくて良かったね。
ずっと、、暑くても暑くても暑くても暑くても暑くても・・・
B君の後ろ姿を見守るC。