読み切りOne-shot novel
メインメニュー >> 読み切り >> 読み切り:ノンジャンル
ノンジャンルNon-genre
- Which
その人さ、Mなんじゃないの?
三千子(みちこ)は聞き返した。
「え・・・普通っぽいけど」
江奈は言った。
「っぽいんだもん」
文乃も言う。
「あたしらが調教してあげる?」
こげ茶色の少し高級な和食料理店。
すっかり精神消耗して、虚ろな目の三千子。
三千子はオンラインゲームなるものをやり、そこで知り合ったプレイヤーたちと
軽い付き合いをしていた。
が、何かと相性が悪い人間がいて、すっかり心が疲れてしまったのである。
「たかがゲーム。
軽い気持ちでやれば・・・」
と思っていた三千子。
三千子の従兄弟がイラストレーターをやっており、
そのゲームのキャラクターの絵を担当していた。
その縁だ。
「でもさそれ。ゲームでしょ。出来るの?
楽しそうだね」
リアルでゲームをやっている、江奈と文乃。
彼女たちは二次元のゲームなど「はっ」と鼻で笑うような人種であった。
(つまり、人生という現実の世界でゲームをしており、充実している)
三千子はオンラインゲームにはすっかり飽き、
代わりに様々な厭な思い出が離れないため、
しばらくカウンセリングに行っていた。
「ん。ん~我慢しすぎたんだね」
文乃がうなずく。
江奈「てか超ムカつくんだけど。
あたしの友達こんなんするとか」
<間>
「でもぉ、ホラ、Mじゃなかったら困るじゃない。
喜ばないし」
三千子は立ち上がった。
「え・・・?(汗)
な、何の話をしてるの・・・」
-------------------------------------------------
電話。
『もっしもしぃ』
優しい声が響いた。
三千子は答えた。
「あ、文乃・・・」
『ちゃんと調教しといたよ』
引き続き優しい声。
えっ
確かに、、お正月を少し過ぎてから例の人(以下、N)を・・・江奈と文乃に紹介したような。
仲良くなったのかな?
私の悪口とか(Nさんが)言ってなかったかな。
色々駆け巡る三千子。
文乃『でも、、少し・・・江奈が駄目なことやっちゃって。
んーでもそれはみっちゃん的にはいい、、かな?』
話を要約すると、
1、Mじゃなかったので無理やりMにした
2、調教成功。
3、結果的にダメージを与えられずに快感を与えてしまった
ミスで、
4、Mにやっちゃいけないことをやってダメージを与えてしまった
→ある意味では、三千子の仇を討ったことになったかも
である。
文乃『ちょっとペットにしては色、白すぎだけど、まぁまぁまぁ。
もっとやっとく?』
白い=弱い ということだろうか?
少し考える三千子。
・・・・・・
・・・
「うん。まぁ・・・
そういえばさっき、江奈が何かした、って言ってたけど」
どういうのだろ、と思う三千子。
どうやら、Mにはやっちゃいけない「いじめない」をやってしまったらしい。
『自分はこんな人間なんだ、笑われるような人間なんだ・・・こんな扱いを・・・』
を言うのを
『たまらな~い(ハート)』
と感じるのがMであり、
ここまでしちゃ可哀想!!と励ましてあげる、元気付ける、のは
すごく駄目なことなのだ。
相手にされないのが最も屈辱であり、対等ではないと感じてショックを受ける。
SとMは実は対等なのである。(省略)
『おまえは何とか・・・生きれるんでない?』
江奈の失言。
??
三千子「?」
『人間、として。初め、見た時から「生きてる」ように見えなかったんですって。
ロボットっぽかったんですって』
励まそうとしたらしい。
「人間になれるかもよ!」的な。
それが先程の『おまえは何とか・・・生きれるんでない?』に繋がる。
甘やかしちゃ駄目なの。
人間ではない。人間ではなくてロボット。
ロボットに「人間じゃないかも」「人間になれるよ」っていうのは
ある意味だめ・・・なのね。
どこかの優しいお母さんのような声の文乃。
-------------------------------------------------
数日後。
立派すぎるペットになっていたN。
もう、ロボットの顔になっていた。
ひとつ言いたい。いいかな?と三千子。
ん?と優しく文乃。
「元々ロボットだったのかな、それとも・・・させられたの?」