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あの頃の



喬一の母親は、自分があまり無くてはかなげで 美しい女性だった。

女性というより、少女のような。


「(疑うことを知らない、無垢の少女のような)」

喬一は幼い頃から母親をあまり愛せなかった。


傷付けてしまいそうで怖かったのだ(本当に子供か?)


メレディスに似ていたから。

顔も 性格も 優しい声も。


罪悪感が刺激され、接していると 試されているような気がして落ち着かなかった。


対し、

「(父親はニューハーフ・・・)」


喬一の母親の男運が極端に悪く、その様を見ていて同情した父親が、母親にプロポーズしたらしい。


そして喬一の父親は容姿的にも性格的にも、能力的にも、素晴らしい父親であった。

(一応容姿は女性だけど)

喬一は母親よりむしろ父親の方に懐いた。

母親はそんな様子を悲しむでもなく、いつも静かに花を育てていた。


母親も父親もプリースト(聖職者)の職に就いていた。


喬一は母親を守るためか、、「殴りプリースト」職の道を選んだ。


殴りプリーストとは、自身に様々な筋力増幅的魔法、補助魔法などを掛け、自ら敵を殴る聖職者 のことである。


ぼんやりと思っていたことだが、
母親をいつか守りたいと思っていた。


殴りプリーストなら、

癒しの魔法も唱えられるし、

実際に筋力が付くステータスになるから、敵を殴ることも出来る。


だが、、

母親はそんな喬一に冷たかった。


会えば会うで 接すれば接するで

はかなげな母は、、 自分の目を見てもくれずに「忙しいの。後にしてちょうだい」

そう言って距離を取ってきた。


「(人間よりも植物の、、・・・花の方に興味があるんだな)」

母さんは。


あなたにとって、、私は花でしかないんだわ


あの日の、冬直前のあの日の、、 メレディスの悲しい言葉。


プチッ

プチッ プチッ プチッ プチチッ


「何をお摘みになってらっしゃるの?」

後ろから声を掛けられる。

ぎくぅっ!


え?

振り返る。


知らないマジシャン(魔法使い)の少女。


美織「何をやっている。莫迦か!」

花が可哀想とは思わぬか。
八つ当たりなら最悪だ。男のくせに

まだ、、まだ王家の言葉だった美織。


溜まりに溜まった怒り、罪悪感が爆発し、

花が憎くなって 無表情で摘んでいたのだ。


私の名前は「メイチー(美織)」だ。宜しく。 

僕は「シャオイー(喬一)」です。


一気に何かが浄化されたと思っていた。



現在の喬一。

喬一「(調子が悪い)」


ミョンホンもずっと通じない。
何か事情でもあるのだろう。


母親のことも、メレディスのことも、、

美織と一緒にいれば、忘れられたのに


浄化どころか、、これは。


喬一は窓に映った自分の顔を見てしまった。

目の下の、とても黒いクマ。

「暗黒・・・」

思わず小さくつぶやく。



シャララ~ン

呼び鈴(天界にもある)が鳴った。

ハッとし、急いで入り口に向かう喬一。


「こんな時間に御免なさい」

きつい感じの美人。


おっ


「麗帆(リーファン)さん、、」

美織ちゃんがここ最近、ずっといない、、姿を見せないの。

ミョンホンも通じないようだし・・・

何か心当たりでもあるかと思って。


いや、僕は何も・・・


「こっちが知りたい!」と言いたいのをこらえる喬一


本当? と訝しげに見る麗帆。


「本当?というのはいけないわね。

疑う訳じゃないけれど、もし良かったら調べさせてもらえないかしら」


どうぞ、どうぞ、 とスリッパのようなものを差し出す喬一。

どうやらぼんやりしている喬一も、麗帆には緊張してしまうようだ。

(何となくライナスの図々しさに似ているからか?)


優雅な足取りで しなりしなり と歩く麗帆。


喬一はずっと何ともいえない感覚を味わっている。

空虚な でもとても乾いているような


美織の顔が淡く思い浮かぶ


ふわっとしたハイウィザードの服が舞って

「(仙服より似合ってたんだよな)」


ぼぉっと 空(くう)を見つめる喬一だった。



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