Ragnarok Online derivative works
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- 第10話:耳鳴り
耳鳴りがする。
くわんくわんくわんくわん。。
レンレンは耳を押さえた。
アルフォンス「おー 蜃気楼が見えるぞ。小さいが」
モロクに来て数時間。
疲れていた割に、昔いたところだからか、楽しそうなアルフォンス。
そしてそれとは対照的に、青い顔をしたレンレン。
それに気付いて、
アルフォンス「おい、どうしたんだ。顔真っ青だぞ。大丈夫か?」
声を掛けるアルフォンス。
レンレン「だ、大丈夫。 暑いからかな」
丈夫そう?なレンレンが顔色が悪い。
非日常的な感じがしてアルフォンスは本気で心配をした。
アルフォンス「この砂漠の砂がいけないのかな。おい、宿を探すぞ」
ついっとレンレンを抱き上げる。
丁度、お姫様抱っこのような感じになった。
レンレン「あ、、重いよ」
それでも嫌がらない。青い顔はそのままだ。
アルフォンス「子供が重いかと。さーて、宿宿、、」
しばらく歩いていると音楽が聞こえてきた。
モロクの街に流れている音楽だ。
アルフォンス「懐かしいな・・・」
思わずつぶやく。
荒れていた頃にここにいた。
あの頃は毎日のように博打をやっていたな。
『このっ!不良アサシン!』
あの娘に殴られた想い出が懐かしい。
元気だろうか。
旦那とは上手くやっているのだろうか。
しばらく想い出にふけっていると、ひとつの小奇麗な宿が見えた。
アルフォンス「おい、いいところがあるな。レンレン、大丈夫か」
レンレン「ん・・・」
元気のないレンレンを抱き上げながら、そのまま宿に入った。
アルフォンス「すみません、大人2名、、じゃなくて、大人1名、子供1名なのですが・・・」
受付けの女性が振り向いた。
女性「あらまぁ、お客さんなんて珍しいね。はいよ。朝食夕食付きで3000Zenyね」
(※Zeny=この世界の通貨名)
アルフォンス「あの、この娘、、俺の連れなのですが、
具合が悪いようなのです。医者とか、、飲み薬とかあれば助かるのですが」
女性「医者なら外れにある所に住んでいるオズマンド先生がいるけど・・・
大丈夫かい?
飲み薬ねぇ。ちょっと待ってくれるかい」
女性は奥に引っ込んでいった。
レンレン「大袈裟よ。ちょっと寝てれば大丈夫」
アルフォンス「ばっか、子供が風邪をこじらすと大変だぞ」
レンレン「だからぁ、アルフォンスは過保護すぎだって、、」
その顔はまだ青い。
アルフォンス「もうしゃべるな。寝てろ」
気が付くと、額に冷たいものがあてがわれていて、横に寝かされていた。
レンレン「っ・・・え?」
そのまま、思わず起き上がる。
辺りを見回すと、アルフォンスがうつらうつらしながら腕を組んで座っていた。
耳鳴りはもうしない。
「何だったんだろ??」
レンレンは不思議に思った。
そして収まって本当に良かったと思った。
ぼーっと窓の外を見る。
何か分からないけど、何かに呼ばれてる気がする。
女の人なのかな?
子供?老人?
・・・
私に何が出来るっていうの
また、、耳鳴りが来たらやだな。
うろちょろうろちょろ
部屋を落ち着き無く動き回るレンレン。
早くここから脱出したい
・・・
駄目!
駄目!
・・・?
何なんだろう、、これ。
そもそも「モロク行きたい!」って
何でアルフォンスに言ったの?私。
遠い 甘い 甘い・・・ 何かを思い出しそう。
両手で耳を塞ぐ。
吸引される思い。
・・・
「(今なら眠れそう・・・)」
くるっと向き直り、
そっとベッドに入っていった。