Ragnarok Online derivative works
目次 >> RO物語本編 >> ふたつ前ふたつ前Before previous life
- 第6話:ハッシシ
毎夜、夢を見る。
桜色の服をまとった女の子が、泣きながら「会いたいよぅ」と手を伸ばすのだ。
桜の花びらがくるくるくるくる
色んな色の花びらが
くるくるくるくる
バサァーッ
手が差し伸べられる
小さな
白い手。
ぼーっとたたずんで
スッと その手は消える。
タタタッ
花びらの向こうに走り寄る。
くるくるくるくる
花びらが狂ったように舞っている。
桜色の少女がこちらを・・・
いや、顔が良く見えない。
あ
あっ!
手を伸ばした所で
ハッと目が覚める。
クライヴはむくりと起きた。
時計を見ると3時前。
いつもの時間だ。
ベッドから体を滑らせる。
ハッシシ・・・嫌いだったけど、、吸うか?
そんなことを考えながら窓辺の方に行ってみる。
眼下を見下ろすと、、酒場の方の明かりはぽつりぽつりとついているものの、
ほとんどが真っ暗闇だ。
眠れねぇよ毎晩毎晩・・・
そんなことをぼんやりと考えながらフーッと息を吐いた。
あの子は誰なんだろう。
妙に懐かしい感じがした。
そして誰かに似ている。
一体誰に?
毎晩その子を夢に見る度、むしょうに会いたくなった。
恋愛感情ではなく、もっと不思議な近しい感情である。
あの子の涙を見ていると、会ってあげないと可哀想で可哀想で仕方なくなるのだ。
会ってあげたい。
「君は・・・誰だ・・・」
ぼんやりとつぶやく。
「嗚呼」
思い出した。
あの子の金髪。
「母さん・・・」
母親の近縁の者なのか・・・?
ごそごそと、戸棚から義父からもらったハッシシを取り出すクライヴ。
「うぐっ、、ごほっ。ごほっ。ごほごほっ」
生まれて初めてのハッシシは苦くて肺に来た。