Ragnarok Online derivative works
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- 第10話:バラ園
プロンテラ某所。
のんびり~っとドラゴンに騎乗しながら、パンを咥えて朝の散歩をするウィリアム。
朝もやがわずかにかかっていて、心地良い。
こんなに気持ち良い想いはいつ振りだろう。
フーッ
思わずため息が出る。
その時だった。
「お待ち下さい妃殿下!」
うえ?
人がいたのか。
ん、、これは。
うっすら漂ういい香り。
「大丈夫、本当に大丈夫だから」
どこかで聞いた声。
「でも、お手でもお怪我なさったら!」
「大丈夫だったら! 本当に大丈夫」
「もう、、何かあったら私の責任になるんですからねっ!」
「大丈夫。隠しておくから!」
「そういう問題じゃ・・」
「大丈夫だったら!」
思い出した。この声。
エリザだ。
長らく聞いてなかった懐かしい人の声。
ウィリアムは驚いた。
そして結構長く忘れていた?ことも思い出した。
キョロッと辺りを見回す。
ウィリアム「バラ園?」
いい香りだと思っていたのはバラの香りだったらしい。
召し使いと思われる女性はぶつぶつ言いながら奥に引っ込んで行った。
エリザはいそいそとバラを摘んでいる。
ウィリアム「(何をやっているのだろう)」
見つからないように隠れていたが、、
何故隠れる必要があるんだ、、
変なプライドが頭をもたげ、
キッとした顔をしてエリザの元へ行った。
かさっ
エリザ「・・あ・・」
エリザの目が大きく見開かれた。
ばさっ ばさりっ
摘んでいたバラの花々が派手に落ちた。
大輪のバラのような、美しいエリザ。
懐かしさで胸がいっぱいになるウィリアム。
対し、
じわ~っと涙をためたかと思うと、、
エリザ「っう"っ、、、あ"う"-っ!」
すごい声を上げて、ウィリアムに突進していくエリザ。
ウィリアム「(いっ)」
いつものが来たー!っ
くっ!と身構えるウィリアム。
エリザ「うい"でぃあぶぅぅうぅぅー!会いたかったー!会いたかったおおぉ」
エリザは思い切りウィリアムに抱きついた。
たらりとするウィリアムだったが、久し振りの儀式?にやれやれ、、と懐かしむ。
「久し振りですね」
その言葉をさえぎって、エリザがえぐえぐしながら言う。
エリザ「あ、あたしね、あたしねっ、うぃりあぶ」
泣いているので言いにくそうだ。
エリザ「女なら誰でもいい、でもい"い"の。ウィリアムの奥さんってだけでい"い"から!」
ウィリアム「・・・?」
何でそんなに泣けるんだ、というくらい泣いている。
子供みたいだ・・・と思いながらウィリアムはエリザがやっと落ち着いた頃合を見計らって聞いてみた。
ウィリアム「女なら誰でもいい、って何だろうか」
エリザ「あ、いけない。ここじゃ目立つから、こっち来て!」
強引に手を引っ張られ、「む?」と思いながらも或るところにズルズルと引っ張っていかれる(ドラゴンと共に)ウィリアム。