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RO二次創作

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目次 >> RO物語本編 >>  夜桜の精

夜桜の精Spirit of cherry blossoms at night

アルフォンスは勉強が苦ではなかった。

それしかやることがなかったから。


彼は孤児だったため、施設で育った。


早く自立するためには お金が要る。

お金を得るためには様々な道があるが、勉強が役立つと思い、勉強ばかりした。


お店を持って儲けを得るには

冒険者となった場合、どの職業が一番金銭的に有利か、

狩場で有利となる有能な武器、防具を買うための効率の良い稼ぎ方は、

上位職になるための最速且つ最適な狩り方は、、


モンスターの情報、

各地の街の情報、狩場の情報、、、


医師なども金銭的に有利だと思い、医学の勉強もした。

てっとり早く稼ぐのに役に立つ肉体労働のための体力作りも欠かさなかったし、

そのための運動生理学も勉強した。



こんな調子で、暇さえあれば勉強していた。



そのうち、彼はその頭の良さを認められ、プロンテラ大学への入学を勧められた。

(プロンテラ=ルーンミッドガッツ王国の首都)

施設の教師たちにお金を出してもらいつつ、奨学金でプロ大に通った。


普通、大学に通うためには冒険者の道を諦めるか休止するか

あるいは両立するか、なのだが、

アルフォンスは両立の道を選んだ。


通常は大学入学は18歳からなのだが、(ゆえにこの時点でたいていは冒険者の道を休止する)

聡明なアルフォンスは14歳からプロ大に通った。


プロ大の中には、アイリーンの兄であるナイトライド氏もいた訳であるが、
彼は天才すぎて5歳の時から通っている。

そして大学院を卒業したのは10歳の時だ。



さて。


プロ大に入る前からすでにマーチャント(商人職)になっていたアルフォンスは、

狩りをしつつ、勉強をして目の回る生活をしていた。

お金がかかっていることをしている訳なので、武器や防具を買うお金は後回しになってしまっていて、そのために リリアの噂を聞きつけて、交渉しに行った訳である。


「(何しろああいう事情がある女だからな)」

俺でも簡単に手に入るだろう
武器


不純な動機がいけなかったのか、神は極大の罰を下した。

(当然だよ)



リリアに魅せられて、勉強が手につかないどころか、省略するが、結果的にアルフォンスは壊れた。


リリアをそれとなく狩りに誘い、彼女と数時間を過ごした後 やっと勉強等が出来る。


そんな、どうしようもない毎日だった。

今のアルフォンスからは想像が出来ない、若かりし頃のアルフォンスの姿である。


リリアはいつも無表情で「そう」と言って狩りの誘いに乗った。


御免、体調が悪いの

そう言うこともあった。


彼女は病弱だった。



体調が悪い。

俺が嫌だからなんじゃないのか

初めはあほなことばっかり考えていた あほふぉんすであったが、


本当に彼女が先天的か後天的かは分からないが、病弱だということを知った。


彼女を気づかい、回復剤をたくさん持っていったり、あまり無理のない狩場に行ったり、

そういうことばかりをして、アルフォンスはお金が貯まらない一方だったのだが、


リリアと一緒にいるだけでもういいと思ったのだ。


「(俺はこういう人間ではない)」


たまに冷静に考えることもあった。

しかし、リリアを見ると、もうどうでもいいやと思ってしまうのである。


(やっぱり天罰だと思います)


「(たまに高級な回復剤をくれる)」

有難う、と言うと

「ええ」としか返さなかった。



リリアは本当に口数が少なく、

「そう」

とか

「何故?」

とか

「うん」


ぐらいしか基本的に言わなかった。


「(たまに機嫌が良い?時には「変」て言うんだよな)」


いずれにしろ、ひらがな二文字の言語しか話さない。

それが「リリア」だった。



他にも狩り仲間は幾人かいたが、

リリアに目を付ける人間がいたらと思うとムカついて誘う気がしなかった。


たまにリリアと狩りをしている人間がいたり、

リリアは商人職なので 露店を開いたりするのだが、

隣で同じ露店を開いている商人がいると あからさまにガンを飛ばしたりして

リリアを結果的に孤立させていった。


(最悪だよ本当・・・)


リリアはそんなアルフォンスの姿に気付いていたが、

興味が無さそうだった。


そのうち、アルフォンスはすさまじい勢いでホワイトスミスに転職した。

(※ホワイトスミス=商人からの発展職、鍛冶職人、の上位職)


丁度その時ぐらいに、プロ大を卒業した。


リリアはアルケミストに転職した。

(※アルケミスト=商人からの発展職、錬金術師)



その頃にはさすがにお金が貯まり、アルフォンスはアルベルタにある小さな家を買った。


そしてあっさり「うん」という返事をもらった。


一緒に暮らさないか、とそれはそれは勇気を出して言ったのだ。


「(誰でもいいのか。この人は)」


恐らく(いや恐らくじゃなく)本当にリリアは「誰でもいい」のだろう。


リリアは、やけに自分を好いてくるアルフォンスを 拒みもしなかったし、受け入れもしなかった。


どうでも良かったのだ。

何もかもが。

彼女にとっては。



アルフォンスは彼女の事情を知っていた。

何故こういう風になってしまったのか・・・


「(でも)」


そんな事情でさえ、愛しく感じる程

そういう事情があったからこそ、リリアという人格が出来たことを

むしろ素敵だとすら思った。


「(やはり、俺はこういう類の人間ではない!)」


自問自答するが、地球の巨大な磁力のように、抗えない力が浸食していた。


(だから天罰だよ)

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