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ふたつもの



メイチーが消滅(逝去と同意)して 早2年。

双子たちは可愛らしく育っていた。

ローザはすっかり「お姉さま」の風格を漂わせ、

双子たちは常に「ローザおねえちゃま」の後を付いて回った。


ローザは優しく、いつもふたりに絵本を読み聞かせたり、

一緒に乗馬をしたり、勉強を教えたり、剣や魔法を教えたり、

そして余程ふたりが可愛いのだろう。

たくさんSS機で写真や動画を撮った。


そしてそれをキレイに仕分けして整理整頓した。



シャオイーはすっかり人が変わってしまった。


アレクシスもすっかり人が変わってしまった。

冷酷無比の無口な存在となり、必要最低限の会話しかしなくなった。

笑顔も一切作らず、鋭い目付きをするようになった。

そして周囲が驚くくらい 彼に冷たく当たるようになっていた。



双子たちはすくすくと育ち、本当に可愛らしく神々しいのに

ごく一部がそれどころじゃないフィーバーを撒き散らしていた。


レオナルドだけは別だったが。


「(葬儀をした時のことを思い出す・・・。メイチー、
双子は立派に育てる。
だから・・・安らかにお眠り)」


忘れ形見を可愛らしい双子を見て、心を和ませながら・・・

メイチーの冥福を静かに祈っていた。



ローザ「グイレン(亀怜)、スアレン(鶴怜)!」


はぁ~い

パタパタパタパタ


折り紙折るわよ~


グイレン「ぼく、つる折るのとくいなんだよね~」

スアレン「わたし、かめの方が折りやすい~」

ふたりはずっと「亀と鶴」が好きだった。

遠くから優しく見守るローザ。

(かめ折れるスアレンすごい)


東洋読み、きれい、かくれい


とても可愛らしい姿に、誰もが振り返り、可愛がった。


ね~ぇ、おにいたま

なに スアレン~


うふふふふ
ふふふふ


いつもふたりで秘密の会話をしていた。



ぼへ~っとしてばかりいるシャオイー。


博識な彼は知っていた。

「(紫色の眼って確か賢者の眼だったような)」


太古の昔に存在した、寿命がすぐになくなってしまう嫌われた職業。

『賢者』。

全ての職業のスキルや魔法を 制限無しに好きなだけ覚えられる代わりに、

莫大な精神力を使うため、早世してしまう。

(セージという職業もあり、訳すると「賢者」だが、それとはまた別である)


しかし特に賢者になる必要はなく、

あくまで「賢者になれるという選択肢を持つ」だけであって、

たまたま紫色の眼を持って生まれた人間は、めったに「賢者」になどならず、
たいていは別の道を選んだ。


そもそも紫色の眼を持つ人間はほぼ、現在は生まれず そのため忘れられていた。



ナイトライド氏は、貴重な片眼ずつ色合いが違うという症例は

もしかしたら早世しないタイプの、、かもしれないという仮説を打ち出した。


そうなると、あまりにも世の中のバランスが違ってしまうため、

双子はあえて冒険者にせずに ずーっと非冒険者として育てるのが良い、とレオナルドに提案した。


ローザ「駄目」


折角おめでたい 亀・鶴 をそのまま閉まっておくなんて


バチが当たるわ!


これは何かのお導き。

「このふたりが生まれたのは何かの意味があるのよ!」


ローザのひとことで、


結局 グイレン(亀怜)とスアレン(鶴怜)は、

冒険者になる年頃(10歳前後)になったら冒険者になる、ことになった。



どうでもいい・・・



シャオイーは何も濁っていない、綺麗すぎる清水のような心になっていた。

喜びも悲しみも苦しみも普通の状態も何も無い

綺麗すぎる水のような

空っぽの容器のような

綺麗すぎる存在になっていた。


生きていなかった。


君と同じだ

かろうじて出た感情でそう思った。


メイチーはいない。

だから

シャオイーも「いない」


亀怜と鶴怜がいつでも一緒で 亀怜が「つるしか折れない!」と言って

鶴怜が「かめを折るのが得意」と言って

いつでもふたりが繋がっているように

それが当たり前のように

光と影のように


シャオイーとメイチーもまた、

光と影であり

一対の存在であった。


「どちらかが消滅すれば 片方も消滅する

元素だってそうだ。ふたつのものがひとつだけになってしまったら・・・

・・・」


・・・


アレクシスはそう思った。


・・・

不思議だな

シャオイー

君を恨んだ

でも今は 君を気の毒に思う



わーお!!

おにいたま?

シュレン「ぼく、かめ折れるようになったよ!」

ふっふーん

ファレン「わたしだってとーっくにつる折れるようになったものぉ」


まず思うのが、2歳児でそこまで会話するな!



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