おかーさま!
わー
「おかあさま!」
バタバタバタバタ!!
え?
「え?分かるの?え?写真で?(落ち着け)」
おかえり。メイチー。
やれやれ、という顔で出迎えるレオナルド。
わーっ
満面の笑みで片手を上げるメイチー。
あの~
トントントントン
何度も背中を叩く。
天界に行った美織(メイチー。天界での読みは「みおり」)
は先程からずっと喬一(シャオイー。天界での読みは「きょういち」)
を抱きしめながら(でもへたり込み合いながら)
ずっと下を向いているのを直すために背中を叩きまくっていた。
言葉も出ないようだ。
(喬一)
えーと、だから、
「天人が出産したら一時的に長期仮眠状態になって。
あ、植物人間状態じゃないです。養分は要らない状態なのですが。
そういう状態になるので、、
麻薬要素を抜く良い機会だと思って、、一芝居を・・・」
美織「喬一さん・・・」
天人によっては違うんだけど、早い人は半年ぐらいで目が覚めて、
遅い人は3年くらい掛かるんだって。
2年で良かった・・・
美織「シャオイーさん、聞いてる?」
麻薬要素を抜くチャンスだの何年くらい掛かるだの。
何を言っているのか分からない喬一。
あ、そうそう
名前、気に入ってくれた?
亀怜、鶴怜。
(きれい、かくれい)
怜なる(賢い)亀と、鶴・・・
し~ん・・・
・・・
しゃべらない喬一。
喬一さんてば!
そのまま、ず~~~~~っと抱きしめていたけど、
ぼ~~~~~っとしたままの喬一。
アレクシスは腕を組みながら、何とかならないかなーと言っていた。
(彼はすぐに復活した←ゴルゴ並みの復活力)
前回の、
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ね~ぇ、おにいたま
なに スアレン~
うふふふふ
ふふふふ
いつもふたりで秘密の会話をしていた。
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これは、「お母様って生きてるんだよねー」「しーっ!」
ずっと秘密にするの大変だねーっ でもふたりで頑張ろうよっ
だね!
的な・・・
会話だったのだ。
2歳児の。
レオナルドもわざわざ葬儀の大掛かりな芝居まで打って・・・(略)
喬一はとても疲れてしまった。
「天人の出産って全然資料とかないから分かりようがなくて。
まぁゼロじゃなかったんだろうけど・・・さかのぼりさえすれば、、何とか症例くらいはあったんだろうけど」
アレクシス「厭な、、予感は感じていたけれど、天人が出産する際の長期仮眠を『消滅』と誤解してしまったんだな」
「そうね・・・」
とメイチー。
喬一「うそつき!」
美織が厨房で色々テキトウなものを作っている(手際が悪いので時間が掛かる)時に
喬一が厨房にのそっと入ってきて 言った。
あ・・・
振り返るのが恐い美織。
喬一は「バタッ」と壁に寄り掛かった。
呆けているようだった。
そのさまを遠くから見てしまったアレクシス。
「(まぁ2年もだまされてたらどうしようもないかな)」
今回だけは勘弁してやるよ。
ため息を付きながら ふたりを見守った。
そして喬一の精神状態を密かに心配し、ジェラルド先生に看てもらった方がいいのではないか、的なことを考えていた。
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