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身を引く愛



ぼたぼたぼたっ!

エリザ「(なんっていい人なのかしら!ジェローデルさんて!)」


お馴染み、崑崙山中。


エリザは美織と喬一が蟠桃をかじりながら読んでいた
『ベルサイユのばら』
をこっそりと読みふけっていた。


身を引くことが愛の証だなんて・・・

レオナルドがこうだったら。。


『ベルサイユのばら』、では、

愛する女性に対し、最後に 手の甲にキスをしてそのまま去る、、

「身を引くことで愛を示す」男性、『ジェローデル』という人物が出てくる。


かなり高尚な愛で、

エリザはその高尚な愛に思わず涙してしまった。


エリザ「(マンガなんて、って思っていたけど、いいものなんだなぁ)」


しみじみ思うエリザ。



ああ・・・
君は知りたまわずや
御身が血に

御身が血に紅く染まらんよりは
よし
謀反人となりて
断頭台にたたん

わがシルフィード



嗚呼、
あなたはご存知ないでしょうね

あなたが死んでしまうくらいならば
僕が代わりに謀反人となって
断頭台に立つのも厭わないということを

私の愛しい人



・・・みたいな意味よね。

やはりジェローデルさんて紳士だわ、、、


ふと、何となく(変態か紳士かの違いはもちろんあるが)レオナルドを思い出してしまった。



君が命を落とすくらいなら

僕が命を投げ出そう


紳士はこうなのかしら。

でも、、他人のために命を・・・なんて。。


美織「なぁ~にやってるの?」


ビクッ!


反射的にサッと本を隠し、


エリザ「あ、あの・・・!」

とうろたえるエリザ。


美織「ちょっとぉ、いけない本読んでる中学生じゃないンだから。
いじめてるみたいでしょ私」


エリザ「あ、あの、、」

すすすすすみませ、、、


と言うところを、

美織「面白いよねーそれ。
他にもあるよ。

難しいけど『ゴルゴ13』が一番おススメ」


とニコニコして言う。


エリザ「(ホッ・・・怒ってない)」


安心するエリザ。


ハッと気付いて、

さっきチラッと見えたんだけど~ と美織。


「ジェローデルの愛、、身を引く愛、、、 アレが兄上にあればいいね」

と言った。


あっ と思った。


エリザ「身を引くことがただひとつの愛の証・・・ですね」


難しいですね。
私には永遠に出来そうもないです・・・

と、ウィリアムから去るのを想像して苦笑して言った。


美織「大人~よね。
喬一さんなら出来そう」

大人を超えて老人だし

いや仙人か


エリザ「美織さんは?」


美織「私は絶対無理無理!
追い掛けてガーッてつかんで絶対離さないっての!」


思わず笑うエリザ。

容易に想像出来る。


美織「花篠娘々失格よねぇ
元が未熟だからど~にもなんないのよ」


そういえば、、

その単語を聞いて、尋ねるエリザ。


エリザ「花篠娘々、って位?とかなのですか?」


そういえば、と思って聞いてみた。


えっとぉ


美織は いつも頭に付けている 虹色のキレイな飾りをぶちっと取った。

もさっ

「あらー 髪の毛取れちゃった。髪いっぱいひっかかってー」


な、何やってんだ、、

たらりとなるエリザ。


手のひらにその虹色の飾りを載せて、「これこれ」と言った。


・・・?

これからの説明を待つエリザ。



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