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宿命



イザムバード「(いでっ いでででででぇ~っ つぅ)」


ここはモロク(砂漠の都市)。

イザムバードの家である。


数日前、アイリーン宅(ナイトライド宅。ふたりは兄妹である)で手当てを受け、帰ってきたのである。


イザムバード「(しかしあれ、いもむとさんの素の鉄拳だったんだよなぁ・・・)」


自分の体中の傷跡を見ながら、思う。


あれで、ブレッシング、速度増加、イムポシティオマヌス、レックスエーテルナ、、
他色々(全部、筋力増幅的な聖職者の支援魔法である)


ぜ~んぶ掛けた状態で、、 鉄拳くらっていたら、、


「(怖い想像してしまった)」


ぶるるっと震えた。


怖えぇ



ん?


待てよ



昔、、、


イザムバード「(タイマンで勝負したことがあったな)」


アイリーンが転生二次職になったばかりの時だった。

(おおまかに、一次職 → 二次職 →「転生」→ 転生二次職 → 三次職 となる)


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ピカッ ゴロゴロゴロ


誰もが家に非難している野原。

どう考えても雷こえー! と誰も外に出ない、薄暗い夕方。(夕闇、、というべきか)



ふたりは、1対1の勝負をすることにしたのだ。


ふたりとも転生二次職同士。

そしてわずかにイザムバードの方がレベルが上だが、

ほぼレベルを合わせた。



アイリーン「女だからって絶対手加減しちゃ駄目よ!」


イザムバード「するかバカ!」


アイリーン「奥さんだってことも、、夫婦だってことも一切忘れるのよ!」


イザムバード「当たり前だろ!」


キッ!と鋭い眼光を放ち、アイリーンが叫ぶ。


それじゃ、行くわ!

くっ!とイザムバードが身構える。


勝負はあっという間だった。



アイリーンはどさっ、と地面に叩きつけられた。



くぅ、、何で?

信じられない、、と地面を見つめるアイリーン。


「おまえの力はその程度か!!」


イザムバードの怒声が響く。


アイリーンは戸惑い、そしてすぐにキッ!と睨み、、

悔しそうに歯をガチガチいわせた。


そして、、


悔し涙を出した。


イザムバード「泣くか!」


アイリーン「悔しい! 頑張ったのに!」

目をぎゅっとつぶる。


「100%、・・・120%ぐらい出したのに!
男相手だから!
でも絶対! 絶対に負けないって、
そう思って!」

そう思って!


そう思って 決死の思いでっ!!


イザムバードは沈黙の後に言った。


泣くってなんだよ

泣くってなんだよ


力を出してそれで負けたならそれでいいじゃないか


泣くってことはそれだけ後悔している部分があるってことじゃないか


アイリーン「・・・・・・」


力をちゃんと出し切らなかった後悔があるから、涙が出るんだろ!


泣くなよみっともない


み、、、

アイリーン「みっともなくなんてないわよ! ひどいわ!」



見苦しい!!


イザムバードが一喝した。


それでも俺の女か



だら~っ


アイリーンは傷口を押さえ、、立ち上がった。


涙が増した状態だ。

すごい顔で睨みながら、


「あ、あ、、あ、、」


アイリーン「あなたなんて! 絶対殺してやる!!」


と叫んだ。



イザムバードは静かに言った。


「それでこそ俺の女だ。根性あるじゃないか」



ピカッ ゴロゴロゴロ


ザー

ザーザーザーザー



引き続き、雷雲が立ち上り、

雷と そして雨まで降ってきた。



ふたりは睨み合っているような、もっと違う何かを空間で共有するような・・・



そんな風にして、


いつまでもいつまでも、見つめ合っていた。


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イザムバード「(そんな風にしてたこともあったのに)」


今はいもむとさんの方が力が上?

いやいやいや!

アサシンクロスとしての威厳が!


イザムバード「(さすがにいもむとさんの力に負けることはないだろうけど・・・)」


でも 力はすっごい強くなってるっぽい


「(僕はずっとアサシンクロスだけど、いもむとさんはいまや三次職だからな・・・)」


アサシンクロスのままなのは、ステータス的に満足なのと、見た目がいいからと、
三次職になる程、特にアサシンを極めたくない
(でも最大の理由は見た目)
からである。


そうしなくても、イザムバードは充分強かった。


『こんばんわ!』


突然、アイリーンからwisが来た。


おおっ?


傷を作ってくれた張本人からのwis(その通りだ)。


『こんばんわ!』

すかさず返す。


『あのっ、えっと 離婚したから・・・
だから 最後に何か言いたくて』


おおっ?


『気にすることないですよ!』


一応気をつかってみる。


『私なりに一応、、えーと』


??


沈黙



『消毒頑張ったんです! 失礼なことして本当にすみませんでした!』


いもむとさんらしいな。

丁寧だ!


『いへいへ! お気にせず!』


『こうなってしまったけど、
また遊びましょう!』


『はひ!是非!』


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イザムバードは分かっていた。


彼はウィリアム以上の頭脳明晰(本当か?)な頭を持っていたので、、


「私なりに一応、 あなたを夫として、、愛していたのです。

勝手だけど、本当です」


こんな感じのことを言いたかったのを、 ちゃんと見抜いていた。


もう、「照れ屋」なのはどうしようもないらしい。



それにしても


普通は、愛をささやきあうのに。


殺し合いをすることでしか、愛を交情出来ない



イザムバード「(それが、暗殺者と殴り聖職者、という夫婦の宿命なのかもしれないな)」


ふたりは最後まで、そっぽを向いていた。



そして背中で語っていた。


くるっと振り向いた時は、「こいつを殺してやる」と思った時のみであった。



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