美織「だってまだあの人はそういう器じゃないし」
人のこと言えるのか?
呆れかえるレオナルド。
ここは崑崙山。
生前功績があった者が行く、「天界」と呼ばれる世界のひとつとして存在する山である。
王家の人間は、複雑なやり取りやら手続きの末に、特別に行くことが出来る。
ちなみに、生きながら天界に住まう(下界にも行ける)喬一を、
王家の人間は必ず守らなければいけない。
レオナルドはルーンミッドガッツ王国の皇太子で、生前の美織の異母兄である。
(複雑だなぁ)
レオナルド「余は喬一殿に会いに来たのに
彼がいないとなると、、」
美織「! やだ、兄上ったら、「余」っていうの嫌がってたくせに」
レオナルド「ああ・・・」
少し恥ずかしそうに、そしてムッとした顔をするレオナルド。
レオナルド「おまえだって、昔は「お兄様」って言っていたくせに、
「兄上」って」
ム~ッとして美織が唇をとがらす。
美織「だって、、、
・・・もう。何か、わたしらって似た者兄妹? カッコつけちゃうんかな」
レオナルド「先程から、言葉づかいが悪いぞ、メイ。
まぁもう 諦めているが・・・」
美織が片手でブンブン手を振る。
美織「駄目駄目! ちゃんと東洋読みで「みおり」って言ってよ兄上」
レオナルド「東洋読みは難しいのでな」
美織「私はメイってやなの! トトロに出てくるメイみたいで!」
レオナルド「?可愛いではないか。メイ」
何か不満でも?と笑っている。
美織「とうもろころしなんて言わないも~ん」
(実は彼女も「とうもろころし」と言っていた)
レオナルドはハハハッと笑って、 腕を組んで辺りを見回した。
レオナルド「・・・それにしても喬一殿はおらぬのか。
残念ではあるが、、」
またの機会に来るか、、と思い、
「何故、玉清、、喬一殿のことだが。
何故彼はその器ではないと言うのだ」
最後に言ってみた。
相当喬一を買っているらしい。
ん~ とした顔をしていた美織だったが、、
「だって本当だもん」
そう言って喬一の至らないところを挙げ連ねた。
・ナンチュンに強い(どこが悪いのか)
・ケチ(ドールハウス買ってもらったくせに)
・隠れドS(優しい人より冷たい人の方が好きなくせに)
・マサルさん的な寝方をする(だからどんな寝方かと)
ねっ
だからあの人は~
と言おうとして
レオナルド「だから玉清仙人には、、なるには、器が足りないと」
口を挟んだ。
美織「そうよ~」
レオナルド「天帝になるにも、まだ器が足りないと」
ピシッ
美織が固まった。
レオナルドが「やっぱりな」という顔をして美織を見る。
レオナルド「余を欺けると思ったか?
花篠娘々とやらになっても、まだまだ、余の妹ということだな」
おまえのことは全てお見通しさ、という顔で呆れるような、見守るような顔をするレオナルド。
下を向いて美織が観念したように言った。
美織「・・・あの人、、そういう風になっちゃうじゃないかって!
だって、すでに「太陰仙人」で玉清オーラかもしだしてんのよ!
すぐに天帝になっちゃうかもしれないじゃない・・・」
生前からそうだった。
「三次職にすぐなっちゃうかも・・・」
とか言っていたら、
「それはない!」って言っていたくせに、
美織「すぐになっていたし」
玉清になったら、天帝への道が近くなるかもしれない
大きな距離があるのは勿論確かだけど、、
でも、玉清になることで、少しは天帝への近道になるかもしれない
そんなことを とつとつ と話している。
?とした顔でレオナルドは問うた。
レオナルド「天帝になったら不都合でもあるのか?」
本当である。
パッ!顔を上げ、美織は言う。
そ、そしたら、、