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アイリーンの秘密



アサシンギルド内。


アサシン職でもないのに、或るレンジャー(射手、罠攻撃系の最上位職)がいた。


レンジャー「女を捜している。名をアイリーンと言う」

何処を捜してもいない。だからここに辿り着いた、と語る。


イザムバード「何故彼女を探す」

レンジャー「自分の女を探すのが悪いか?」

マジで?

いつの間にかいもむとさんが!


イザムバード「(いつの間にっ!)」


戸惑ったが、、、


「・・・どういう事情があるのかは知らないが、
そう簡単にそういうことを教える訳にはいかない」

凛として言うイザムバード。


レンジャー「ここにはいないということか?」

イラッとする


イザムバード「何故そこまで彼女にこだわる!自分の女だと言ってたが、、
そうだったら逃げている訳ないだろう」

思わず声が大きくなってしまう。


レンジャー「○○年 龍の月だった。
すぐにいなくなってしまった
それまでは探していなかったのだが」

突然会いたくなった、と 言った。


○○年 龍の月?


俺と別れてすぐじゃないか


驚くイザムバード。



イザムバードは寒気がした。

この男は危険だ。


イザムバード「・・・俺は彼女の、、アイリーンの夫、、元夫だが。
アイリーンの夫だった男だ。
貴様がまだ俺がいた頃だったら、引き裂いていたところだぞ」

脅しを掛けておいた。


レンジャー「アイリーンの夫だと?
あの女は処女だった。
・・・だが俺にはどうでもいいことだ」


くっ と体に力が入る。


イザムバード「野蛮人め!」


険しい顔をするレンジャー。


「・・・アサシンクロスの青年よ
見上げたものだな
森の民、レンジャーを罵るか」


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いもむとさんはっ!


いもむとさんはっ!


ぎゅうううぅと目をつぶり、歯をくいしばるイザムバード。


力づくで!!


うぅぅうぅううう


いもむとさんはすぐに身代わりを立てたり、、

すぐ次の人間を見つけたり、、

そういう人間ではない。


いつまでもいつまでも、、

頭が離れずに、ひとりの人を想うタイプだ。

ノリが良くて奔放なのは表向きの顔なだけで。


イザムバード「(そのいもむとさんが、、、
くそぅ!)」


イザムバードは壁に思い切り拳を打ちつけた。


何故何も言わない?

どうしていつも通りなんだ?


平気な振りをしているだけなのか?


あんな悪魔のような邪悪そうな男・・・

誰もあんな男なんて近付かない。

好きになんて絶対、モロクにいる男好きの女だってならないだろう。


「(いもむとさん!)」


どうして平気な振りが出来る!


・・・


ハッとして思った。


「(ひょっとして記憶喪失なのか?)」


脳に極度のストレスがかかった場合、精神を守ろうとして、体がその記憶を封印してしまうことがある。


一体どこでどうやっていもむとさんはあの悪魔に捕まってしまったのか。


イザムバード「・・・・・・」


やれやれ


あの女なら大丈夫だと思ったけど、


俺の力が必要みたいだな



あの日のアイリーンとの戦いの時のように、

「もうひとつの人格」が出てくる(病気的な意味ではない)イザムバード。


この人も(変態的な意味で)多重人格であった。

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外では、びゅうびゅうと砂漠の風に吹かれながら、


アイリーンがアサシンギルドの前に立ち尽くしていた。


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注釈:途中までの台詞が、
皇なつき著『李朝・暗行記』を参照



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