アーシェの両親は、アーシェが生まれて数年経った後、
完全に仲が冷め切ってしまっていた。
しかし、元々は、将来を約束する可愛らしい関係であった。
親同士が、ふたりが生まれる前にすでに「許婚」として決めていた仲で、
ずっとずっと、幼い頃から仲良しであった。
レンジャー「俺は、俺なりにおまえを想っていたんだ」
アイリーン「・・・」
レンジャー「前世を持ち出すのもなんだがな」
そうよ、、いいじゃない。もう
頭を振るアイリーン。
レンジャー「アーシェ、、俺は冷遇してしまった」
ピクッ
アーシェの名前が出て、反応するアイリーン。
レンジャー「・・・おまえがいなくなった後、
冷たくしてばかりだった、、」
父親らしいことを何も出来なかった。
アーシェ・・・
胸が痛い。
下を向いてレンジャーが言う。
レンジャー「俺にはおまえしかいなかった」
え?
レンジャー「愛情表現は難しいものだな
ずっと 一生涯 おまえを・・・」
えぇっ?
目を見開くアイリーン。
とても・・・そんな風には・・・ 欠片ほども、、、
レンジャー「・・・或る事をした」
或る事・・・。
レンジャーは真っ直ぐアイリーンの目を見て言った。
「暗闇の記憶。救いようもない闇。あれは、俺が作った幻だ」
!
アイリーンはもう何が何だか分からなかった。
ど、どういうこと?
レンジャーは目をつぶり、また目を開けて響く声で言った。
「おまえは・・・
アサシンクロスと一緒になったと聞いた。
どのアサシンクロスか分からなかったが、
憎かったんだ」
少し、、邪悪そうに嗤った(わらった)。
「(あの顔・・・)」
悪魔みたい、、、
気が遠くなるアイリーン
「アサシンクロスを思い出すたびにアーシェを思い出したか?」
目が光っているように 見える
おぎゃあ おぎゃあ
「(アー シェ・・・)」
くらくらする。
この人は?
花びらたちはどうだった
「え・・・」
思わず答えるアイリーン
「俺たちの想い出だ」
そして・・・
沈黙。
本来、、背負うべき運命を味わって、、どう感じた
邪悪そうに、、楽しそうに聞く。。
「(おろされそうになった、あのことを言っているのね・・・)」
力なく考える。
怖いと思っていたけど
もう麻痺した。
アイリーンは聞いた。
凛とした声で。
「あの、恐ろしい暗闇の記憶は、何なの?」
フフフフフ
哀しそうにも、莫迦にしているようにも見える笑いをして、アイリーンを上から見下ろすレンジャーだった。
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