結構日にちが経っているにも関わらず、である。
喬一「(住み処にもいないし)」
ファイリェン(天界のリゾート地)にでも行っていたり?
唐突に・・・
うーん
ハッ
急いでミョンホン(天界の1:1対話)をする。
喬一『こんにちは』
『(通信凍結中 )』
凍結中になっている。
「(花篠娘々の勤めは!・・・)」
腕を組んで考え込む。
凍結中。行き先不明。
喧嘩はしていない。
(美織は喧嘩するたびに何処かに身を隠す)
「(ファイリェンは考えずらい
派手なところは嫌っていたような
漠然とした勘だけど
下界のリゾート地あたりかな)」
とりあえず目星を付けた。
(大抵美織の行きそうなところは当てるのだ)
下界のリゾート地だと仮定して
何処だろう と思った時。
麗帆「喬一さん」
麗帆がいつの間に腕を組んで目の前にいる。
うっおおおぉぉぉ
目を少しつぶっていたからって。
油断した
っつーか 怖えぇぇ
麗帆は言った。
麗帆「美織を追ってはいけない」
?
「どうかしたんですか」
何か事情でも
麗帆「むしろもう、美織に近づかないでもらえないかな」
?
何が何だか分からない喬一。
「(いつものオカマ言葉じゃなくなってる)」
麗帆「あなたは」
長い髪の毛を優雅にバサッと後ろに投げかけて言う。
「私たちの、、ニューハーフとか。そういう『少数派』と呼ばれる人間たちの、、
そういう傾向というか。
おかしな、そうだな。危険なものを感じるんだよ」
ニューハーフ。
傾向。
先日 美織と麗帆が話していた内容を思い返す。
喬一「・・・・・・」
呆気に取られる。
突然何なのだろう。
麗帆は冷ややかな顔をして喬一を見つめている。
容赦のない、冷たい目だ。
いつもの美しい、菊花のような笑顔、優しい、そしてひょうきんな麗帆の面影はどこにもない。
・・・
麗帆「あなたは美織にとって、負担でしかないんだよ」
寒い
特に寒い日じゃないのに
凍えそうだ
・・・
ニューハーフ云々というのと、みぃちゃんに近づいてはいけないというのはどう結びつくのか。
解せない喬一。
バシャアァァァンッ
海も無いのに
凄まじい波が岩にぶつかるような錯覚。
思わず肩だけ後ろにのけぞってしまう。
麗帆「あなたは申し訳ないが、正直美織の害でしか。害ではないな。
害、というか」
美織にとっても、喬一さんにとっても、
もう無理、、
喬一「(言ってることが良く分からない)」
麗帆「だから、これを言うのもなんだが、もう近づかないでもらえないだろうか、美織に」
こいつ
喬一「(美織美織、、呼び捨てにしやがってッ!)」
そんなに特別なのか 少し天界で親しくなっただけのくせに
喬一「?」
喬一は意味不明だった。
何故こんな風に妙にいらだつのか
喬一はしばらく黙っていたが、
喬一「・・・分かりました。
みぃちゃんに宜しくお伝えして下さい」
そう言って、ウン! と雲を呼び、元気なく乗って 去っていってしまった。
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