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呼んでる



沈みモードのメイチー(美織)。

(下界はカタカナ表記)


一回前世で結婚失敗してるからこういうとこ来るのあれなのよね


「(アレクシスに「この任務を一緒にやらない?」って誘われたから来たけど)」


やっぱり辛い!


何かやだなー

でもこれも任務だ!!


アレクシスがせわしなくあちこち動いている。


「・・・どうやらこの部屋には手掛かりはなさそうだな」


パッと顔が明るくなるメイチー。


「アレクシスがそう言うってことは、本当にないのね」


「おい」

ビチッ! とメイチーを指さす。


「ちゃんと手を動かせ

誘った以上、きちんと責任を持って行動してもらわないと困る」


メイチーは目をハの字にして(どんな感じ?) ふ~っとため息をついた。

わぁかってるったら。


すごく頑張ってるよ

怠けてないってば


てぇか、脚、動きすぎて、頑張りすぎてすごく痛いのに。


「(だからベッドで座ってるくらいなのに)」


アレクシスは ビジネスモードとプライベードモードで、

態度も口調も全部変わる。


ふたりは下界の新婚地、ジャワイに来ていた。


ここ最近、新婚の夫婦を狙った盗賊団が暴れまわっているらしい。


下界の人間ではどうしても手に負えないということで、王家を通して 天界にヘルプが行ったのだ。

極めて異例のことなので 優秀な人材(天人材)であるアレクシスが担当として選ばれた。


メイチー「(で、私も「一緒にこの任務どう?」って誘われたのよね)」


ミョンホンが来るとそっちに気が行ってしまう傾向のあるメイチーに対し、アレクシスは事前にそれを凍結しておいた。


ジャワイってワクワクする感じがするからつい「行く行く!」なんて行っちゃったけどー


「(ブルーだ)」


結婚したことがないから、とかじゃなくて
(メイチーは生前でも天界でも未婚)

前世のあの結婚が、、


メイチーは前世であまり幸せでない結婚をした。


「(アレを思い出しちゃってブルーなのよね)」


ブンブンブンッ!!

メイチーは頭を振った。

どーでもいい!


今は盗賊団を捕まえることに集中しなきゃ!

「よっし!!」


諦めてメイチーは立ち上がった。

ガッツポーズまで決めている。


さっ!いっきますか! 次のへ、、、

「次の部屋」と言いたかったのだろう。


ん?


アレクシスが振り返る。


あ・・・




あ、、、


アレクシス「・・・?」

メイチーの突然の変化に驚くアレクシス。


うっ

目をつぶるメイチー。


そしてブルブルと小刻みに震え、


目を開けて、、大粒の涙を浮かべ始めた。


「何かあったのか?」

突然の変化に思わず固まるアレクシス。


両手で頭を抱え込み、「誰かが、、誰かが、苦しい」

「何かを求めてる」


「行き場のない苦しみを抱いている・・・」


ぶつぶつつぶやきだした。


「?! 霊力か?」


「ウィザード系職(魔法使い職)」と「プリースト系職(聖職者職)」

になれば、自然と霊力なるものが付き、様々な物事が視えるようになる。


ううううう

涙を流すメイチー。


「多分・・・これ」


喬一さん




アレクシス「喬一さんとやらが何か関わっているのか」

この件で。


メイチー「違うの。

喬一さんが苦しんでるよう

私を呼んでる」


両手を両耳に当て、プルプル震えている。


それが

全ての始まりだった。



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