ロレイン、・・・大富豪、ヴィンセントを虜にした、悲しい女性。
彼女はアマツで命を絶った。
アマツは霊力が高く、極めて精神性が高い。
邪なものも、聖なるものも、、どちらも突飛出ている。
邪なもの。
アマツにあるお城の3階にある、男雛のいない女雛。
それがいつからあるのかは分からない。
きっと過去に何かがあったのだろう。
しかし何らかの因縁を感じる。
男雛のいない女雛。
実際はそんなことなかったのだが、
愛されていない、と自らひとり雛(ひとり雛っていう単語あるかな、、)になったロレインは
3階のひとりでいる女雛と共鳴を起こしたのだろう。
異空間への巨大な裂け目を作った。
その恐ろしい裂け目は 通常の人間を取り込みはしない。
愛し合う夫婦、恋人、、
そういう者たちを取り込むのだ。
裂けた口、白い目、長い長い爪
バサリと垂れた髪で、、
かつてのロレインが そうしていた・・・
あの日。
「行かないで!」
とアイリーンたちを止めたレンレン。
彼女の機転で 何とかなった、、と思われた、、が
水の浸かった神社で、イザムバードとアイリーンは取り込まれた。
至るところに異空間への入り口があったのは
このふたりが深いところで愛し合っていたからである。
(やめてよ)
幸せな人間、、幸せな恋人たちを妬む、、恋人に裏切られた女性の恨みの強さはどのようなものか・・・
想像出来るだろう。
それはきっと ・・・例えようもない程・・・
殺してやる!
とロレインは本気で思っていた。
(あのふたりを?)
だから、取り込んでやる、と虎視眈々と狙っていたのだ。
だって不幸せだったから。
自分が。
でも、実際は違ったのだ。
彼女は間違いなく愛されていた。
両親によって壊された聡明なヴィンセント。
彼の心を癒し、整え、(結果的に全てを整えることは出来なかったが・・・)
女性の本当の美しさ素晴らしさを、、
伝えることが出来た女だということを、、
そんな存在だったのだということを
彼女は分からなかった。
分からないままさまよい・・・。
レンレンは、そういうことを全部桜の樹から伝えられ、そのまま
ロレインを悼む桜の樹の力によって異空間に入り込んだ。
アマツは
霊力の強い国である。
関われば、何らかの力、気が「つく」
場合がある。
それは 聖なるものか 邪なるものか
或いは両方か。
レンレンは アマツで出来た子供だった。
桜舞い散る中、風とか森とか笛の音とか(笛の音?)水の流れる音とか
滝の打つ音とかパチパチと聞こえる火の音とか 満天の星空とか
虹を見て
それで出来た子だった。
前世での因縁もあるだろうが、
アマツでのたくさんの気を受けたレンレンが 高い霊力を持つのは(略)
夜桜の精。
聖なるものは聖なるものとくっつくだろう。
邪なるものは邪なるものと因縁が深くなる。
あなたはどちらか。
アマツに行き、「レンレン」なる夜桜の精。聖なるものと会うか
「ロレイン」のような邪悪な(昔のロレイン)悪霊と会うか・・・
アマツには 夜 かがり火が焚かれている中、ヒラヒラと舞い散る、、、
聖か邪か分からない、、、夜桜の精が眠っている。
(了)
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