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本当の邪



でさ、

レンレンが切り出した。


「さっきの神社 おかしいって話していたの

アルフォンスと」


おかしいって


何が?

エリザが問う。


邪、な空気も

清浄な空気も


「何も ないのよ」


それ おかしい



アイリーンさん、との手掛かりは 何か見えてきたか?

アルフォンスが問う。



ふい~っ


周りの桜を あちこち ぐるぐると回って

しばらく 桜の空気を楽しんでいるように見えたレンレンだったが


「・・・ここには何かあるわね」


と言った。


何か?


「何かって何が?」

訳が分からなくなって 顔を見合わせる3人。

(ウィリアム、エリザ、アルフォンス)



女雛といい、あの水に浸かった神社といい、、


「でも 邪な空気は感じない」


くるりと振り向いてレンレンは言った。


本当の悪人てね、善人の顔が出来るのよ。

怖いけどね。


「悪人は悪人の顔をしてる。

善人は善人の顔をしているわ。

でもね、」


本当の悪人は 善人の顔が出来る。


「あの神社のように」


「どういう意味だ」


アルフォンスが問う。


くるっと振り向く。


「・・・本当の邪、はね、邪悪な雰囲気なんて出さないの」

完璧に隠せるのよ



怖いわ


何だろう。

良く分からないけど、


「過去に、何かあったの?ここ」


突然の質問に目をパチクリする3人。



パラパラパラ


キレイに舞い散る、桜の花びら


「(え?過去に何か? あ、あったのここ)」


バラバラバラ


キレイなキレイな、、花びら


「(とても、、そうには・・・)」


で、でも何かあったのか?

知らないだけで何かあったのか?


どうしていいのか分からなくて戸惑う3人。



・・・

確かに、、


お城には、、3階の女雛とか、、2Fの地下戦場跡地とか、、

あ、あと 1Fの畳の迷宮とか


「(色々あるけど、、)」


まさかそんな 邪 なものだなんて。


いやいやいや、、、


ウィリアムもアルフォンスも同じように考えていた。




あっ!

エリザが小さな声を上げる。


ん?


皆の視線がエリザに集中する。


確か、、

あの桜、、?だった・・・かしら


とある桜の樹を指さす。


「あそこで、亡くなった・・・女性なら。その噂なら・・・」




「それはもしかして?」 レンレン、アルフォンス、ウィリアムが同時に言った。


察しが付いた。

つまり、自ら、、亡くなった。ということだ。


レンレンは言った。


「それなら、、珍しい事件だし、今だって噂になっていてもおかしくない。のに。

何故・・・知られていないのかしら、、あまり」

初めて知った。それ


この世界では、そういうのは極めて(極めてどころじゃない)珍しい。


エリザ「言われてみればその通りよね、、、」


エリザも不思議そうだ。



さわっ・・・


桜の樹の枝たちが次々と揺れた。


「早くお去りなさい」


そう言っているように聞こえた。



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