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謎の場所



自分は確か、仲間たちと

マクシミリアン「(エンドレスタワーに行っていたはず)」


エンドレスタワーとは、RO(ラグナロクオンライン)の世界の冒険ダンジョンのひとつである。
色んなところに出てくる各地のボス・モンスターが集結しているという場所だ。


マクシミリアン。

ROの世界の魔術師男性である。

魔術師の最上位職「ウォーロック」という職に就いており、
且つ、最高レベル(オーラ、と呼称)である。


彼はたいていボスモンスターを倒して貴重なアイテムを手に入れる、という楽しみ方をしている。


冒頭の「エンドレスタワー」という場所に狩りの仲間たちと行っていたはず、、だったのだが、


・・・


一面の白い・・・すすき野原。


「(すすきって白かったか?)」


まさかアリーナじゃないよな、、と思う。

アリーナとは、RO内の違反プレーヤーが送られる牢獄のようなところである。


そよそよ


・・・

記憶がない。

エンドレスタワーで狩りをしていて、

特に何か戦闘不能になったとか全滅したとか

記憶にない。


気付いたらここに。


ん?

マクシミリアンは考えていた頭を上げた。


遠くに、白い髪の白い服(・・・和服?着物?)を着たとても小さい女の子がいる。

タタタッと傍の、これまた大きな、、白い樹に行った。


そしてマクシミリアンを見る。


頭の中に割れるような不協和音が響く。


不気味だ


彼は努めて冷静に、、腕時計を見た。

友達登録と言って、ROの世界でお互いに「友達」として登録すると腕時計に互いの名前が出る。

ログインするとそこがエメラルドグリーンに光るのだ。

友達登録のリストをいじる。


「(シノグ・・・)」


ログインしているのがシノグしかいないらしい。


シノグとは、一見優しそうなように見えて 実はとてつもない いじりキャラ(張り手レベル!)の、やはりウォーロックの男性である。


パーティ(グループ契約)を組むとそれでも一時的に名前が刻まれるのだが、

「(パーティ欄、誰もログインしてない)」


一緒に狩りをしていた仲間たちも何かあったのだろう。


『やあ』

とりあえずいじられないようなひとこと(1:1対話)をシノグに飛ばす。


『合ってますか!』


意味不明な返しが返ってくる。

『合ってるって何が』


『こんばんわ!』


動じないマクシミリアン。

(ミルドレッドというほにゃ~っとした魔術師女性を相手にしているので対人スキルは高いのだ)


『意味不明なところにいるんだが、ここがどこだか分かるか?』


『意味不明なところ?』


『白いすすき野原が広がっている』


『あーそこね、さっき僕が作っておいたところですよ』


『で、知ってるか?』


少し話したが、「聞いたことも見たこともない。何だそこ?」という場所らしい。


<間>


シノグ『自宅に戻ってエディー(ROの世界のパソコン)をいじって調べましたけど、

とりあえず情報は載ってませんね』


マクシミリアンは、事の顛末を詳しく教えた。

エンドレスタワーで狩りをしていたこと、全滅した訳でもないのにいきなりここにいる、

ここに来る(来た)までの記憶は一切ない。気付いたらここにいた。


シノグ『他の人がログインしていないというのが不思議ですね

僕と通信出来ている時点でマックさんは少なくともログインはしている・・・』

マクシミリアン『マックさん言うなと』

シノグ『何ですかマックさん』


マクシミリアンは先程から実は不気味さで頭が痛いぐらいだったのだが、

こういうほ~あ~な会話をしていて癒されてしまった。


思い出したようにシノグが言った。


『そういえば、エンドレスタワーって不吉な噂があったような』


不吉?

何だ

『えーっと』

思い出しているらしい


しばしの間(ま)。


シノグ『ティルルに数年前に聞きまして』


★どうやらエンドレスタワーには変な世界があるらしい
★学校の七不思議的な感じで、「戻って来れない場所」があるらしい
★そこには、エンドレスタワーで 行かないで!と言ったのにみんなから見捨てられて亡くなった女の子の何かが渦巻いているらしい


さっきのあのチビがその女の子か?

マクシミリアンは白い着物の女の子を思い出した。


でもROの世界で「本当に逝去すること」は出来ない。

ゲームの世界なのだから。

戦闘不能、という状態にはなれるが。(※後述)


くだらないなと思いながらも、この圧倒的な事実である。

エンドレスタワーには隠しダンジョンがあったのか。にしても不気味だな。

と思った。


『ログインし直してみるとか』

シノグが提案した。


魔法が解けたように元に戻るか?


(略)


しゅん


ササーッ


女の子が遠くに居る。


一面の白い、、すすき野原。


思わず無言で座り込んでしまったマクシミリアンだった。


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[ 逝去、戦闘不能云々について ]

ROの小説本編では、ROの世界=現実の世界なので、
「逝去」という概念がある。

ここ、マックとミリーシリーズでは 現実の人間がROという「ゲーム」にログインする、という設定なので
当然だが『逝去』という事態は発生しない。

戦闘不能、という状態になる。


※念のための注釈。


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