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りあら



リアラは生まれつき精神的にも肉体的にも極端に弱かった。

小学校に上がる頃にはもう、様々な精神的ショックで白髪になっていた。

肌もとても弱く 普通の服だと傷だらけになってしまうため(ひぃいぃ)
専用の「傷付かない」白い特殊な服(和服っぽい)を着ていた。


腫れ物に触るような、、とかそういうレベルではない娘に、両親はどうしていいか分からず、

常に無視(というより障らない?ようにする感じ)するようになっていた。

小学校にも満足に行けず、仕方がないので家庭教師を付けた。

不幸中の幸いでこの家庭教師が良い人で、


リアラはこの女性(女性です)に癒された。


家庭教師は、体を実際に使う訳じゃないから、と

三次元を模した「RO(ラグナロクオンライン)」を勧めた。

オンラインゲームなのだが、レベル上げとかそういう楽しみ方ではなく、

そこも一応「三次元の世界」なので そこで静かな家を持って

お絵描きするだとかそういうのをしてはどうだ、という提案だ。


リアラは 絵を描くだの ドリルを進めるだの 文字を書くだの

そういうのすらほんの少しの時間で疲れて倒れてしまうのだ(・・・汗)。


「でも 三次元を模したゲームの世界なら疲れないでしょ?」

家庭教師は言った。


本当にその通りであった。

今まで全く出来なかったかけっこや、たくさんの勉強、少しの遊び。

全然疲れずに出来る。

勿論、時間が経てば普通に眠くなったりはするが、基本的な「一般人がやれること」は出来るようになった。

ただ、本人の状態がROに反映されるので、元の世界で風邪をひけばROでも風邪をひくし、

元の世界で怪我をしていたら、RO内でも怪我した状態で出てくる。


リアラはあくまで先天的に病弱なだけであって、それが通常状態である。

特にそれが「風邪をひいている」という状態じゃないので

「一般的な状態(通常状態)」として認識され、元気なままでいられるのだ。


白ポリン「そこで僕たちが生みだされました」

(ポリン=RO内の最弱モンスター)


心も体も弱い人間は、「魂」が強い。

心と魂は違う。


大元の、核の部分が「魂」というべきか。


強い魂を持つに至ったのは、、心と体が弱いからだ。

視力を失った人が人一倍聴力などが優れるようになる、のと似ている。

バランスを取ろうとする人間の不思議な力だろう。


トゲトゲポリン「たくさん僕たちを、、世俗の離れたこのウンバラ(ウータン族の村)の、、この木の上で

木の上の家で 楽しそうに楽しそうに描いていました」


それすらも楽しめなかったから。元の世界では。


たくさん描いて、、


それがいつしか精神体となった。

幼児が作る、架空の友達、「イマジナリーフレンド」というものがある。


プリンポリン「それが実体化してしまった感じで、、」


おそらく、魂の威力が半端じゃなかったゆえ、だろう。


花びらポリン「でも普通じゃないですよね。そのくらい稀っていうかレアなことなのだと思います。

あ、でも。こうして今ここにいるから・・・。生んでもらったことは感謝しては、、いますが」


ミルドレッド「花びらポリンさん、この世界がイヤですか?」


花びらポリン「・・・いえ。でも、ご主人様のリアラが酷い目に遭ったところです。

酷い人がたくさんいると思うと、、いなくても良かったかも。なんて」


白ポリン「それに僕たちみたいな小さな生き物だと 勝手に偏見を持って『可愛い心を持ってる』とか『汚れのない心を持っている』とか

小さい生き物はこうであらねばならない、という像を人間は勝手に押し付けてきます」


ミルドレッド「あ、あの そういう人には近寄らなければいいと思います!」


ポリンたちは無言だ。


ミルドレッド「でも!弱い者を攻撃したり、自分の気持ちを相手のことを考えずに押し付けたり、、そういうのは駄目です。

そういう人は視力を失うと聞きました!」


神が、「物事の本質を見ることが出来ない愚か者が!」と視力を奪い 目が見えなくなるのだそうだ。


ポリンたちがささやき合う。

「ひそひそ・・・やっぱり・・・ひそひそ・・・だよね・・・ひそひそ」


白ポリンが言った。

「貴方は、歪んでひねくれてしまった僕たちと違って、清い心を持ったままでいたのですね。

僕たちは駄目です。あんなことがあったからもう・・・」


ミルドレッド「良く分かりませんが、悪いことがあった人には天罰が当たります!

大丈夫ですよ!」

ムッとして花びらポリンが言う。(女同士!)


花びらポリン「気休めおっしゃらないで下さい。悪いことして天罰だなんて。実際は当たっていないケースが多いように思われますが」


ミルドレッドは言った。「でも~えっと

ディズニーだ!

『眠れる森の美女』! 最後のシーンで」


ね、眠れる森の美女?

花びらポリンが目を回す。


「『悪は滅び、正義は勝つ!』って言ってました。仙女さんが!」


・・・

花びらポリンは・・・「(この人ならいいわ・・・)」と思った。

(この猜疑心の塊のポリンが白旗を揚げたのだ。『この人は大丈夫』だと)


ハッ


と、ところで。

勢いでミルドレッドが言った。

「かっ壁に貼ってあるポリンたちの絵を、、おぉぉお、ご紹介してもらえるとぉお、

嬉しいのですが」


前回)参照だが

ミルドレッドというアホ魔術師女性が、「一般人には見ることの出来ないポリン」を追い掛け、

ここウンバラというウータン族の村に来たのである。

(やっと説明が!)


そして、「ご主人の家」というリアラと呼ばれる少女の家に連れて来られたのだ。

(そして今回の内容、である)



わぁ、すっごい可愛い

ミルドレッド「キレイに描かれてて~色塗りもキレイですね~」


壁の絵を一通り紹介してもらった後、

スケッチブックらしきものを渡してもらい、絵の鑑賞をするミルドレッド。


アニメーターとか、、企業イラストレーターとかに向いている子だったのかも・・・


リアラのポリンのイラストを見て感嘆の声を上げるミルドレッド。


これが2008年で、これが2014年、、、

「すごーい。こんなに・・・」


後半はポリンの絵ではなく、普通のイラストだった。


お世辞でもなんでもなくミルドレッドはその絵を心から美しいと思った。

「マンガ家とかには惜しいくらいの、、画家さんレベルなんじゃ・・・」


悲しくなってしまった。

最初はミーハー的な感じでキャー可愛い、と騒いでいた。

でもとても美しい絵を見て、何だかとても悲しくなっていった。


何故人間たちは、こういう人間を集団で攻撃し、挙句 亡くなるまで追い詰めるのか・・・


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