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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第4章「global」

誕生日

ピリーピリリリリッ
ポンパカパ~ン

パポ~ン

愛花は黙って聞いていたが、
そっと空間にウィンドウを出現させて音を消した。


ポンッ!!

軽快な音が鳴ったかと思ったら、
何と空に

「HAPPY BIRTHDAY!!」

の文字が出現していた。

愛花「(誕生日・・・)」


今日だったっけ?などと思う彼女。

誕生日限定の有力アイテムがもらえればいいが・・・
と思う。


アイテムで首都にワープし、総合案内所のようなところに行く愛花。

女性「あ、ええ、ええ!確認しました。えっと、えっと『21月50日生まれ』ですね」

えっと
ごそごそごそご

女性は奥の方からとても重そうなものをひっぱり出していた。

・・・

くるっと振り向き、
「済みません、あの重くて。でもすぐ持っていきますね」
かなり気を使っている。


愛花は言った。
「手伝うが」



そこはある草原。

「開かない以上、斬るしかない」
愛花は静かに言った。

「どけ!危ない!」

下がっていろ、と言うべきところを「どけ」なんて乱暴な言葉を使ってしまった愛花。
「(何だ。余裕がないのか?)」
格好悪さに汗がにじむ彼女。


やっと取り出せた大きな箱。
箱というよりは鉄で出来た鉄箱・・・だ。

何をやっても開かず、業を煮やした愛花が箱を草原に持って行き「斬る」ことにしたのだ。



愛花「(専用の鉄を溶かす機械があるところに預けるのに・・・普通は・・・)」


すぅ。。

どけ、と言われた総合案内の女性は「怪我でもしたら・・・」と心配していた。

愛花「(間が取れない。タイミングが?)」

ダッと走りこむ彼女。

ディスインテグラートワー!(分子破壊攻撃)

実力!で出てきたフェンリルナイトの技だ。






鉄の箱はそのままであった。


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愛花宅。

その日は愛花の誕生日ということで理々と裕也がお祝いに来ていた。


裕也「物理的なものじゃなくてさ、精神的なものだといいんじゃないかな」

ずっと落ち込んで音楽を聴いていた愛花が振り向いた。


私、愛花さんが大好き。
「Happy Birthday to You!」

理々に驚いた裕也が理々を見る。
はいっ、藤波先生も!
と、理々。

しどろもどろになっている裕也に、あからさまにじーっと睨む理々。


はぁ.....


理々「きっとこういうのは『お誕生日おめでとう』っていう愛の力が!」
理々は裕也を激しく揺さぶった。


愛花は掛けている音楽を代えた。


裕也は鉄の箱の置かれているテーブルに行った。

裕也「何か分からないけど、とても大きな優しい気持ちを感じるよ。
誰か分からないけど、愛花さんを大好きだったんじゃないかな」


愛花は眉をひそめた。
「誰が。私を」

いきなり『大好き』という言葉を聞いて不快、そして警戒した顔になる愛花。


愛花の傍に行き、「Happy Birthday to Me」って言ってみて。
と裕也。

スタスタと歩き、テーブルの鉄箱に向き合う愛花。


ピンッ!

『世界に私たちがいるね。みな、選ばれて生まれてきたの。
存在するってすごいことなんだよ。
だから
は、はっぴーばーすでー!めちゃおめでとう!愛花さん!』


ビシッ!!

脳みその奥でこちらの耐久力など構わずに響いてきた声があった。



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