国譲りによって、地上(葦原中国)の代表者であるオオクニヌシから、
天上(高天原)が国を譲ってもらった、ということで
いよいよ天上から、地上へ代表者が降りることになりました。
地上、葦原中国をまとめるためです。
高天原の所有地になりましたので......
アマテラスにはお馴染み、誓約で出来た5柱の息子たちがいますが、
長男のオシホミミを地上に降ろすことにしたのですが...
丁度、或る女神との間に息子が生まれていたのですが、
どうせなら息子を、とオシホミミは自身の息子を勧め、
アマテラスにとって血縁的に 孫 となる神様を地上に遣わすことになったのです。
これを天孫降臨(てんそんこうりん)と呼びますが、
天、つまり天の神アマテラスの孫、を地上に降ろす、ので
『天孫降臨』と呼ばれるのです。
元々は天のアマテラスの息子、オシホミミが地上に降りることで
"天子降臨"になるはずでした。
国譲り騒ぎの時と言い、
オシホミミさんはつくづく葦原中国に縁が無いようですね...
さて、その天孫...オシホミミの息子はニニギと言う神様なのですが、
たくさんの護衛というか仲間?と共に地上に降り立ちます。
たくさんの神様、というのは、
天の岩戸騒ぎの時に出て来た、
知恵の神オモイカネ、
鏡を作ったイシコリドメ、
勾玉を作ったタマノヤ、
岩戸の前で踊ったアマノウズメ...などの神様たちです。
なお途中で、一向が地上に降りていく途中で
サルタヒコという神様が「お待ちしておりました」と迎えており
その神様も一緒に同行することになりました。
なお、気が合ったのかアマノウズメとサルタヒコは結婚したようです。
そして天孫降臨する前に、アマテラスは、
「八尺の勾玉(やさかのまがたま)」
「八咫鏡(やたのかがみ)」
「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」
...つまり三種の神器をニニギに渡していました。
「私だと思って」とアマテラスは言うのですが、
恐らく
『アマテラスの血を引く者、という証』ということなのだと思われます。
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そして。
...ニニギはある日
木花之佐久夜毘売(コノハナサクヤビメ)という
美しい女神と会います。
花の女神のようですが、ニニギはすぐに求婚します。
「そういうことは父に聞いて下さい」とサクヤビメは言い、
そしてサクヤビメの父親である山の神は、
ニニギの血筋(アマテラスの血を引く)を知り大喜びします。
そして姉の石長比売(イワナガヒメ)も一緒にもらってくれ、と
サクヤビメと共にの姉も一緒にニニギに遣わします。
ちなみにサクヤビメは
「花」を、つまり花のような繁栄を司る女神であり、
イワナガヒメは
「岩」...国歌に『石の巌』という単語が出るのですが、その単語で分かるように
「岩のような長い寿命」...つまり永遠を意味する女神です。
山の神は、ニニギに「花のような繁栄」と「岩のような永遠」を贈り物として贈ったのですが、
ニニギはイワナガヒメの容姿が美しくないことを厭い、
実家に返してしまいます。
サクヤビメは「花の女神」ですから、
花のように美しく、
イワナガヒメは「岩の女神」ですから
頑強な顔立ちをしているのでした。
娘のひとりを返された山の神は大層怒り、
岩のような永遠性、つまり永遠に生きられず、寿命を迎えるでしょう、と言います。
このことで、天の神様の血を引きながら、
永遠に生きられずに『寿命』というものを迎え亡くなってしまう、という運命を背負うことになります。
...この描写は、
後の子孫である『天皇』が現人神で有りながら、
人間のように寿命を迎える、という理由付けの話だと言われています。
さて。
サクヤビメと結婚後に、すぐに妊娠します。
妊娠を嬉しそうに報告するサクヤビメでしたが、
1度しか男女の関係を結んでいないのに、
すぐに妊娠するのはおかしい、
別の男の子だろう、と妻の不貞を疑います。
悲しんだサクヤビメは、産気付いた際に、
産屋に火を点け、
「もしも神の血を引く子なら、火の中ででも無事に生まれてくるでしょう」と
言い残し、無事に3柱の男の神様を出産します。
ニニギは紛れもなく自分の子供だということが分かり、
サクヤビメに謝罪します。
...この描写は
『何が何でもどういう風に後々に勘ぐられても、天皇は天孫(ニニギ)血を引いているのだという強調描写』
なのだと思われます。
生まれた3柱の子供たちは、火の中で生まれたということで
火の名前が付けられます。
火の傍で生まれた長男は火照命(ホデリ)、
火から一番遠くで生まれた末っ子は火遠理命(ホオリ)、
長男と末っ子の中間の場所で生まれた中間子は ホスセリ(火須勢理命)
と名付けられました。
長男は、
釣りが得意で、海で獲物を獲るので『海幸彦』というあだ名で呼ばれ、
末っ子は、
山での狩りが得意だったので『山幸彦』というあだ名で呼ばれました。
三貴神もそうですが、
真ん中のツクヨミは、誕生した後 2度と出て来ませんが、
それと一緒で、真ん中のホスセリはこの後 出て来ません。