「私は世を治めなさいと父イザナギに言われたのだから、
天だけでなく、地上も治めるべきである。
だから地上の(葦原中国の)代表者に会って、国を譲ってくれるように頼もう」
と宣言し、色々な神々を送って失敗したものの、
最後にミカヅチを送り、国譲りを了承させることに成功し、
国を治める代表者として、
アマテラスの孫ニニギを地上に送った訳ですが、
ニニギの子孫、イツセとイワレビコが
国の代表者としてついに動き出します。
ふたりは九州に住んでいたのですが、
九州の人々は自分たちに従ってくれるけれど、
日本全国的にはどうだろう?
ここだけではなく、もっと遠い場所へも遠征しなければ、
もっと自分たちを知ってもらわなければ...と
東に行くことになりました。
九州から、東に向かう、ということで、
これを
神武東征(じんむとうせい)と言います。
...
ニニギが山の神の娘サクヤビメと結婚し、
火の中で子供が生まれ、
その末っ子が、狩りの得意な山幸彦と呼ばれました。
兄と喧嘩(ではないけど)し、
海の宮殿で海の神の娘タマヨリビメと恋をし、
生まれようとした子供は
産屋が完成する前に生まれた挙句に
お母さんが、トラブルで実家に帰ってしまいました。
その後に
お母さんの妹に育てられたその子は
その叔母と結婚し、4柱の子供が生まれました...
...理屈上から言いますと、
上記の「生まれた4柱の御子」は
太陽と山と火と海の要素が全部入っている一方、
良く考えると3/4サメなんですよね。
神武天皇は3/4サメということになります。
つまり
これ
話は戻りますが
ウガヤフキと叔母(で妻の)タマヨリビメの間に生まれた4柱の男子は
長男と末っ子が手を組み、
「アマテラス様の名代として、国の代表として、
端の方ではなく、日本の中心部へ行こう!」と
いうことで東に向かったという訳です。
ちなみに次男は母恋しさに海の宮殿に行ってしまい
三男は外国に船で行ってしまいました。
4柱全員で協力して行かないことから、
50%は君主としての務めを果たそうという気持ちの一方で、
25%はまだ母親に甘えたい気持ちと、
25%は自由に生きたいという気持ちが君主という立場でも
あるんですよ、と言っているのかもしれません。
それは深読みかもしれませんが、
天皇という立場は 国をまとめる という使命がある分
内側の気持ちは、どの天皇も、4柱の御子たちのように
4つに分かれているのかもしれません。
名前が多くて覚えにくいかもしれませんが、
4柱の長男が
五瀬命(イツセ)、
末っ子が
伊波礼毘古命(イワレビコ)、
と言います。
その、
イツセとイワレビコが
九州を出て 東にどんどん進んで行ったのですが、
何処へ行っても天からやって来たアマテラス様の名代の方!と
歓迎を受けます。
とっても順調に進んで行くので
このまま日本全国、従ってくれればと祈り、
更に東に移動して行く訳ですが
とうとう、大阪の、今の茅渟(ちぬ)辺りで反乱に遭います。
那賀須泥毘古(ナガスネヒコ)という
スネの長そうな豪族が、
「おまえなんて認めない!」
と意思を表明したのでした。
この辺りでイツセが負傷し、その血が沼に流れ
沼が血だらけになったことで
そこは「血沼(ちぬ)」と呼ばれ
今の「茅渟」の由来になったと言われています。
兄の負傷に驚き、急いで手当てをするイワレビコでしたが、
兄は
「私たちは天の神の子孫なのに、
(つまりアマテラスという太陽神の子孫)
太陽に向かって進撃してしまった。
それが良くなかった。
だから太陽に背を向けるべきだった」
と言って、間もなく息を引き取ったのでした。
...太陽に背を向ける方が失礼だと思うのですが...
...ここでは、兄と弟が結託して進撃して、
兄が、(あくまで彼が表現するところの)傲慢な態度をして
命を落とすという描写があることから、
やはり当時の古事記が編纂された時期の、
天智天皇(兄)を差し置いて
天武天皇(弟)筋が皇族の血を引き継いでいるという背景があるので、
それとなく遠まわしに 弟側 というものをアピールしているのかもしれません。
悲しむ暇もなく、
兄の意見を聞いて
ひとまず大阪を南下し、
今度は東側から西側に移動するというルートを取ることにしました。
移動中、山の中で、イワレビコ一行は 荒ぶる神である大きな熊に遭ってしまい
その吐き出す息で 一行がみんな倒れてしまいました。
息が臭い訳ではなく、
荒ぶる神が吐き出す息は大きな威力があるということです。
ちなみに熊がいるからか分かりませんが、
この場所を「熊野」と言います。
そのことで何人も命を落とすと思われましたが―...
寸でのところで、
高倉下(タカクラジ)という
宝くじの名前に似ている人物が刀を持って現れ、
刀を振り回して、漂う邪なる空気を浄め、
ひとまず一行を助け出しました。
目が覚めたイワレビコに対し
タカクラジが
「この剣で貴方を助けなさいと使命を受けました」と言って
その刀を差し出しました。
熊の瘴気に当てられ、
「私の子孫が困っている!」と大変心配したアマテラスが
武神ミカヅチに助けを求め、
ミカヅチが
「私が行かなくても、私の作った剣があれば充分だから」と
タカクラジの夢の中に出て来て
「あなたの家の倉庫に、私の剣を置いたので
その剣でアマテラスの子孫を助けて欲しい」と言ったので、
ここに来ました、と
タカクラジは説明するのでした。
イワレビコはその剣を振るい、
熊から発された瘴気を祓いました。
その後、
アマテラスが「子孫が困っている、助けて欲しい」と相談した最初の相手である
タカミムスビが、
イワレビコ一行に、天から声を掛けました。
タカミムスビとは、
古事記で一番最初に出て来た最古の3柱の神様の1柱です。
『これから先はとても大変だから、
私の遣わす
八咫烏(ヤタガラス) を頼って進みなさい』
と言うのでした。
八咫烏は3本足のあるカラスです。
これは、通常は2本しかない足が3本あることで、
1本余計にあることで、普通よりも優れている...という意味合いがあるのかもしれません。
イメージ的に、
例えば、額に目がある『第3の目』などのような
「通常は2つだけなのに余分に1つあるもの」が、
何となく大きな力があるような感じが想像出来ますが
もしかしたら、そういうものだという可能性があります。