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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第1章「妃羽」

煌びやかな世界

魏(うぇい)家。
中国有数の名家である。

侯 妃羽(ほう ふぇいゆー)。
月に一度開かれるパーティに呼ばれる召し使いである。

ローテーションがあるため3ヶ月に一回なのだが・・・


妃羽は魏家の跡取りの長男、「威俐(うぃりー)」の大ファンだった。

そもそもここでの召し使いになったのは威俐をひと目見たいが故でのことであった。

雑誌、切り抜き、様々なものを集めては幸せを感じていた妃羽。

両親を早くに亡くし、大元となる拠り所が無い、というのもその熱狂さに拍車を掛けていたとも言える。



そんなある日、誰かと話す機会があり(恐らく同郷の者と思われる)
好きな趣味の話で盛り上がっていると、

カシャッ

グレープフルーツジュースが妃羽のスカートに(チャイナドレスです)落ちた。

丁度近くにいた威俐が走ってきて、
「大丈夫ですか?」


近くの濡れタオルを妃羽のドレスの染みにトントンと当てた。

どうも汚れが落ちそうになかったので、
「替えの服に替えてきます・・・」
と言った、妃羽。


その顔は何とも言えないほどに真っ赤になっていた。

男性ふたりはその反応で、さすがに彼女の気持ちを察した。


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3ヶ月に一回のローテーションで良かった。
心から思う妃羽。

いつもそっと威俐を目で追ってしまう妃羽であったが、、

ある日、キーンと氷ついてしまった。


美しい女性。
明らかに他の女性とは違うような雰囲気。

とても威俐と親しげに話していた。
ワインを傾け、楽しそうに談笑している。

目の前が真っ白になる妃羽。

妃羽「(違う。知ってた。
こんなこと当たり前。
・・・でも凄く親しそう
・・・う・・・)」




妃羽「(あれが、、あの人が本命?)」


トントントン・・・

回れ右をしたまま階段の方へ向かう妃羽。


暗くて汚くて誰も来なそうな階段下。
「(ここなら大丈夫そうね)」

しばらく壁に体を預け、口を開けてボーッとした。


だいぶ経ち、両手で顔を覆い、静かに泣く彼女。

「(トイレ行って、それで涙拭こ)」

顔を上げた瞬間に、左上あたりに威俐がいた。


妃羽「きゃあぁぁっ!」

後ずさりをし、壁に思いっきり体をぶつけた。


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1、ローテーションだと知らずに、たまに来ないので心配していた
2、いきなりいなくなったから探していたら汚いところで泣いている



妃羽「(そんなにっ目立つのかな。奇抜な格好しているわけでもないのに)」

ちなみに使用人が着用するのは赤の線を縁取った白いチャイナドレスである。


泣いていたのは、お腹が痛いからだとかイヤなことを思い出しただとか
あらん限りの嘘を言ったが・・・

威俐が鋭い目をし、、
とうとう妃羽は折れた。

あ、、し、親しい女性がいて。
その女性と睦まじかったから・・・

後半は涙で声が潤んでしまった彼女。


うぐっ
うううっ
うう~っ
うっ うっ

100人いたら100人ともドン引きする泣き方をする妃羽・・・。


当然ドン引きする威俐。


しばらくして

スッと妃羽の手を取った。

妃羽「う・・・え?」

すっくと威俐は立ち上がった。

source of photo : CONRAD TOKYO

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