小さな世界 > 第1章「妃羽」
ハイ・ソサイエティ
某大飯店。
いわゆる、ハイ・ソサイエティ(上流階級)が行くような豪華なホテルである。
部屋に入るとプールと蓮の花の池が見えた。
妃羽「(な、何でこんなことに)」
何がなんだか分からず、その場にへたり込みたい脚を必死にこらえ、
そして今の状況を見直そうとする彼女。
同情して、部屋に連れて来た
→これから何か優しい言葉を掛けてもらえるかもしれない。
そう考えては、意味が分からず、パニックになって
夢かもしれない、とか異次元に迷い込んだのか?などと考え、、
今、見えている現実は「現実、と頭で見せている妄想が入り乱れているもの」なのかもしれない。
と思った。
いわゆる『統合失調症』という病気に罹ってしまったのか?と。
統合失調症とは、現実が分からず、頭の中で作り出したもうひとつの現実が入り乱れてしまい
現実が見えなくなってしまう症状のことを言う。
そこでは、実際にはない風景、人物がいたり、
実際には聞こえないはずの音が実際に聞こえたりする。
脳みそが見せているのだ。
「(落ち着いて・・・。もしかして今、実際の現実では目の前の人が看護の人だったりするのかな?
私はとにかく。。暴れなければいいのよね。
あ、家に帰ればいいんだ)」
すぐに「自分は今妄想状態!統合失調症状態!」と結論付け、
社会の迷惑にならないように、そして自分を防御するために逃げようと必死になる彼女。
「(頑張れ・・・頑張れ自分!)」
そそそ、と後ずさりし、口をパクパクする。
威俐は窓を見ていて、背中を向けている。
ちゃぷっ
プールの水の音が少し風にあおられて鳴った。
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しーん、、とした空気が数分漂った。
威俐も、妃羽もずっと突っ立ったままだった。
妃羽は何か話そうとするが、
自分から話し掛けるのがためらわれ、
とにかく落ち着いて話さなければ、、と
ずっと威俐の声を待っていた。
ピシャッ
プールの音が鳴り響く中、
そっと立ち止まりぼーっと何も考えずにプールと、蓮の花を見る彼女。
部屋ではBGMが流れている。
このBGMはピアノだ。
この曲を弾いてる人はすごいなぁ、、などと妃羽は考えていた。
「侯 妃羽(ほう ふぇいゆー)」
やっと威俐が、後ろを向いたまま声を掛ける。
「はい!」
すぐに返事をしながら、「(何で名前知ってるの?)」と混乱する彼女。
妃羽に歩み寄って来た威俐。
くるりと向き直り、スススッ、と歩いて来た。
反射的に後ろに下がる妃羽。
ふと
「(なんだろ、、この懐かしい感じ)」
不思議な、大昔かいだことのある懐かしい香り(香水)を感じる彼女。
そして、激しいまでの
「お偉いさん?オーラ」。
これが噂に聞く「オーラ」。
比喩表現ではなく、本当にあるんだ。と
目の前がくらくらする妃羽。
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気が付くと、寝巻きのようなものを着ている妃羽。
ここって何処?ここは・・・ここは?
場所が分からずに頭を軽く左右に振り、
「あっ」と小さく声を上げて横にいる威俐に目を向ける彼女。
やはりきっちり寝巻きを着て寝ている。
・・・
彼女は状況を整理した。
昨日の夜、号泣した。
その様をドン引きされた。
しばらくして手を取られ、この部屋に連れて来られた。
何かのやりとりの後、特にいかがわしいことをするでもなく、
少しのアルコールを呑み、そして一緒に寝た。
「(状況が追い付かない)」
ピチチチ...と鳥のさえずる音が聞こえる。
ぼーっとしている間に、
ガチャリとドアが開き、モーニングサービスのカートと
ふたりのメイドが出て来た。
別に裸でもないのに、サッと掛け敷布で上半身を隠す彼女。
驚かれるかと思いきや、メイドふたりは何にも気を止めることなく
サッサッと作業をしていた。
何となく落ち着かなくなり、そっとベッドから降りて
スリッパを履いて窓のところに向かう。
朝陽があまりに眩しくすがすがしいので、
少し落ち着く彼女。
手際の良い音が響いたのち、サッサとメイドたちには部屋を出て行った。


