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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第1章「妃羽」

雨の詩

「(あの日も雨が降っていた)」

大きな窓から
斜めに雨がザーッて


ツーッと妃羽の目から涙がこぼれた。


いやーっ!

グッと両手の拳を握り締め、ガッツポーズのような感じになる。

いやー、は心の声だ。


やだやだやだやだ!
小さい声で言う妃羽。



うっ

あの日のように嗚咽の声を漏らす妃羽。

「(思い出しちゃ駄目なのに、何故傷をえぐるの・・・)」



『熱愛発覚!結婚秒読み?アツアツデート』

何処かの女性との噂の記事。

あの時の悲しい気持ち。

週刊誌を握り締めて、、窓を閉めるのもせずにあえて雨に打たれながらずーっとそのページを見てた。



威俐『何故惹かれたのか。惹かれるべくして惹かれたのだろう
ただ、当たり前のように求めていた』


「(色んな、、貧しい国の女の人とか、お金で買った人とか、
モデルさんとか女優さんとか・・・下手したら男の人とかにも(待て)
言ってる・・・よね・・・)」


自惚れちゃ駄目。


「(第一この世界は偽りの世界なんだから)」


妃羽「(こんなにぃ、こんなに好きになっちゃうなんて
雨が似た状況で降ってる、ってだけで)」
それだけで絶望的な気分になるほど・・・!



異次元か異世界か、本当の私が病院にいて寝ている(意識がない)のか知らないけど
「(永遠にこの夢が覚めないで欲しい)」


例え愛されなくても、、どう思われていようと
威俐様の傍から離れたくない。


雨は益々強くなる。


暘谷はおととい言った。

『好みとかそういう小さなものではないです。

上手く言えないけど・・・
人、を『ひと』として見ることが出来るようになったとでも、言うか』


ミニチュア事件、、名称分からないけど
あの時はまだ「もの」として見ていたかもしれない。

変わってきて・・・
それで、「ひと」として見られるように・・・なったのかな



ザーッ!

ザザーッ!

雨が激しくなるが、目をつぶってその粒を顔にあえて当てる妃羽。

ガラガラ・・・
カタンッ
シャーッ

すぐに閉め、カーテンを閉める。


・・・


過去に威俐様のことで泣いた雨は、たくさんだった。

これより多かった。

「(確かめて良かった)」



気分転換にピアノを弾く妃羽。
(威俐が習っているので真似して習い出していたのだ)

Masashi Yamanaka:雨の街角



妃羽「(音なんて・・・いや)」

何故、『音』という空気の震えがあるの・・・
などと考える彼女。


鍵盤に突っ伏す妃羽。

激しい雨がいつの間にか優しい雨に変わっていた。


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暘谷「という訳で、午後2時からはA社、午後5時からはC社。
途中、B銀行頭取へのご挨拶を忘れずに。(偉そう)」

威俐「知っている」


暘谷「あえて言った(読み上げた)だけですけどね。ったく有能なんだから」

威俐「A社の女性社長は白い色がお好みだ。花、、花束か何か用意しておいてくれ」
暘谷「あ、はい 白ですね」

車の中である。


※上役と秘書の会話が逆転している



『資料は70部で宜しいでしょうか?
あ、RyomotoとMasakaで違う・・・全部で、140部ですね?』

『スライドのセッティングOKでしょうか』

『大丈夫です』


暘谷『まだ4つあるうちの2つ目が検討中のままだ。
至急、××室に集合して話し合いを』


(略)



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