小さな世界 > 第1章「妃羽」
7色飲料水
ボストン。
こげ茶色のビル。
通称『チョッコレーッ』
(あえて普通の発音をしない)
眼鏡を掛けてかみまくりながら書類を読む女性。
(30分前)
<会議中>
暘谷「威俐様、まずこのプロジェクトの主旨説明を」
威俐「うん」
ライチー、パイナップル等を混ぜたものに、ヨーグルト風味のものを入れる
・・・という飲料水の話である。
ざわっ!
何でいまさら飲料水?という空気と
「アレ難しいから皆作るの諦めてるのに・・・」という空気。
・・・
眼鏡を掛けてかみまくりながら書類を読む女性。
◇ライチー、パイナップル他果物数種
◇デザインはヘンな感じで
◇味は超一流を
◇費用は高くなってもいい。が質をお願いします
暘谷「(材料が難しい。混ぜるとそれぞれが良さを壊しあう
でもこれが出来れば・・・!
デザインがヘンて何?)」
そして前回の話から、である。
<プレゼンテーション当日>
暘谷が立ち上がった。
「え、それでは早速ですが、宣伝プロジェクト『混合果実飲料』の
第1回プレゼンテーションを始めます」
書類を読み上げる彼。
「まず本プロジェクトの進行予定をご覧下さい」
パシャッ
スライドが映し出される。
こちらです。
暘谷「このようになんたらかんたらかんたら
未だに開発は難しい状況です」
女性「そんなに?
待ってる人もいるらしいのに」
男性「あれだね、別のものを宣伝にした方がいいんじゃないかね」
男性「今更何言ってんスか。まずこれっスよ」
イライラ
暘谷「5月中に各種データを基に基本方針を策定いたします」
最終的には飲料水の消費が多くなる夏までに、発売準備完了と
考えています。
暘谷「何か質問ありますか?」
(暘谷が怖くて誰も質問しない)
暘谷「続きまして、×××になりますが、×××の場合による
×××。×××については×××と考えておりますが、×××」
×××× ×××
宣伝に飲料水とは(苦笑)
車中だ。
魏の一族にはポツリポツリと企業があって、会社がいくつかある。
何か大きなこと、というものではないが、
『これ!』というアピールもの
『あれが魏かー へー』と、心の隅に覚えてもらえるものを作ろう、
という案が出たのだ。
ボストンには妃羽も連れて行かれ、妃羽の主要?召し使いとして
愛衣と花宇も同行することになった。
<夕食後>
妃羽「そのデザイン、、請けてみたいなぁ
あ、請けて、って言い方変ですね。えっと、、」
威俐「やってみたら?」
シャンパン(子供用)を飲みながら威俐が言った。
シャッ シャッ シャッ シャッ
くるくるっ
「んーっ」
だいぶ経ち、すっかりデザインを考えようと
ひたすらスケッチブックにデザインを描きまくる妃羽。
あーっ!
「これじゃなくてぇ」
威俐「はい。もうおしまい」
妃羽のスケッチブックと、絵を描く筆記用具一式を持って行く威俐。
・・・
妃羽「(・・・絵を描くことに妬いてたとか)」
汗をかく妃羽。
妬かれたら、嬉しいけど。
と自信なく思う妃羽。