小さな世界 > 第1章「妃羽」
違和感
カタン、、
妃羽と鴻日の目の前のテーブルにストロベリーチーズケーキが置かれた。
トマト「それでは失礼します」
レタス「何かお飲み物は」
鴻日「アールグレイで」
レタス「了解しました」
妃羽「(人がやってきて少し安心した。
・・・鴻日さんて何か緊張するんだもん)」
妃羽の様子に何かを感じたのだろう。
鴻日「どうしましたか」
鴻日が声を掛けた。
ハッとする妃羽。
「い、いえ」
レタス「どうぞー」
鴻日「どうも」
妃羽「子供・・・」
鴻日が持ってきていた書類を手に取った。
鴻日「話題が変わって恐縮ですが。
個人のアイディアです」
飲料水の話だ。
女性の消費者中心に今後検討していく案が出ている(まだ確定ではない)。
鴻日「その際に、女性がつい本能的に見てしまう「子供の描くような絵のデザイン」
がいいのではないかと・・・」
妃羽「・・・」
鴻日「確定ではないので、これも。
妃羽さんのご意見をお聞きしたく」
♪♪
「!」
♪♪♪~
邸内の音楽が『森林(妃羽作曲)』になった。
妃羽「そうですね。いいアイディアかと・・・」
本能、という言葉に反応した彼女。
今、成り行きでパッケージ?のデザインを色々模索している。
私がデザイン係りではないが、適当に自分なりに考えている。
今の「子供の描く絵」というのを参考にする
それらを語る彼女。
カサッ
妃羽は書類を読んだ。
鴻日「×××。×××であって」
妃羽「あ、はい」
10分後。
妃羽「・・・先程の暘谷さんの件ですが」
カチャッとスプーンでティーカップをもじもじ鳴らしながら妃羽は言う。
「威俐様はそのようなことをする人ではないと思います。
が、暘谷さんに聞いてみます
一応、私の危機?を救ってくれた人ですし
恩がありますから」
鴻日「―・・・恩?」
鴻日はいぶかしげに訊いた。
一応周囲の人間たちには、
1、威俐と妃羽がくっついた
2、離れた
3、暘谷と妃羽がくっついた
ということになっている。
妃羽「い、いえっ あの
色々とお世話してもらったって言うか」
・・・
鴻日『暘谷さんは女嫌いなのにあなたと―・・・
そして威俐様は一般人のあなたを一時的とはいえ迎えた。
そういう人がいると何かあると思いましてね』
妃羽『・・・』
鴻日『暘谷さんは有力な秘書で、威俐様は暘谷さんがあってこその方なのです。
おふたりが何かありますとこちらとしては少々困ることが』
少し、、冷たい視点から見下ろすように鴻日が妃羽に言った。
部屋に戻り、妃羽はずっと鴻日の冷たい視線を思い出し、物思いにふけった。
「おいっ!」
ビクッとする妃羽。
暘谷がユウを片手で持ち上げている。
暘谷「何だこの、こ汚い猫は!
いつのまに?飼ったの?」
妃羽「暘谷さん!」
―・・・
エコノミークラス(妃羽の部屋)。
ふたりはズズーッとアッサムを飲んでいる。
ユウ「まぁいい男じゃねーか ちょいぶっきらぼうだが(汗)」
↑妃羽の精神に語り掛けている
カチッとティーカップを置く時にやっと口を開く暘谷。
暘谷「・・・まぁ、心配してくれるのは有り難いけど、
大丈夫だから」
それより作曲は、だの司書の仕事先だの、デザインは?だのを
色々と聞く彼。
妃羽「・・・?」
暘谷「じゃ、おやすみ」
暘谷がFR(ファーストクラス・ルーム)に帰る頃、妃羽とユウは何とも言えない違和感を感じていた。