小さな世界 > 第1章「妃羽」
不穏
ポロン♪ ポロロロロロロン♪
♪♪
威俐は憂いていた。
威俐「(あの人の顔は、一体何だ・・・?
え・・・思い出せない
何故・・・)」
・・・
麗海「えー?そうですか?」
『チョッコレー』内の・フロア1、の階段の下で話している。
鴻日「そうですね
僕の見たところに拠ると・・・」
と言い掛けたと同時に、
「れみ(麗海)さーん」、とふたりの女性たちがふたりに声を掛けた。
振り向く麗海。
「リーハイ(麗海)、ね・・・(汗)」
麗海は『宝塚的格好良さ』があるので女性に大人気だ。
れみ、という日本語読みが何故か流行り、女性たちにそう呼ばれている。
え?
麗海が聞き返した。
女性「でぇ、うーんと。私は良く知らないんですけど
××の××をやって、後は××の××を」
パッと麗海がさえぎった。
麗海「あ、あの それって困る」
それは、その」
「(暘谷さんがやるものじゃ・・・)」
金髪で巻き髪にしたその女性が左右に頭を振って髪型を整えた。
周りでは相変わらずがやがやと人の声がしていて、
『キャー麗海さんよー』と2、3人が見ていた。
パラパラッと書類をめくる金髪女性。
「えーっと。こんな感じですねー」
あ
麗海がその書類を手に取る。
くっ
「うっそ!無理よこんなの!」
金髪女性は相変わらず髪の毛を整えている。
『少々お待ち下さい・・・』
麗海「少々って!どうしてこれで暘谷さんが出ないの?
どうしてあなたがっ」
相手『通常ですと、麗海さん→威俐様の場合は
中継として暘谷さんが出るのですが 何故か今回は僕に(汗)』
電話中だ。
バサッ
帰宅後、書類の束等をベッドに投げ出す麗海。
花宇「わー、随分ある」
花宇は麗海の『趣味:料理』友達で、たまに会う間柄だ。
どこか別の国に行く場合、必ず愛衣と共に連れて行かれるほどの有能な花宇。
・・・だが、「今日は借りてく」と猫を預かるように麗海が持っていく(持っていく)ことがあるのだ。
花宇「んー・・・でも確かに。
暘谷さんと威俐様がこういうことになるんじゃないかって」
麗海は目をぱちくりさせた。
花宇はすさまじいスケジュールとメモやら何やらを見た。
麗海は疲れたように言う。
「すっごいでしょ ソレ」
バサーッとベッドに体を預けて彼女は言った。
麗海「風邪でもひいたのかなー
あの丈夫そう?な人が」
暘谷「そこは違う!」
「こうだ!」
♪♪
ピアノ室。暘谷邸。
「だから違う!」
妃羽のピアノを指導?する暘谷。
妃羽は頑張って期待に応えようと弾いていた。
・・・
「いいよ。次は『業火』」
♪♪ ♪♪♪~!
「俺に対する怒りかそれは!」
ピアノの音がずっと続くので、トマトとレタスが窓を介してピアノ室を見ていた。
ピアノ室は窓の部分が、全面窓になっている。
妃羽「え、駄目でしたか?」
「いや、良かった・・・(汗)」
妃羽「じゃあ次は『挑戦』」
♪♪ ♪♪♪
♪♪
・・・
ティラン...
妃羽は横を向いた。
妃羽「ど、どうでしたか?」
・・・
暘谷「いいよ」
ワァーイ!!
でかい声で万歳をする
・・・
レタス「随分仲良し」
トマト「司書よりもこちらの方がいいですね・・・」
レタスは言った。
「でもどうせボストンから上海に帰るから。
その時見つければいいんだよねー」
それじゃあそろそろ失礼致します。
って寝てるけど 麗海さん・・・
花宇が麗海の部屋から去った。
空を見上げながら彼女は思った。
花宇「(もっと複雑なことになりそうな気がする)」