小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」
そして
池谷予備校。
理々「だからぁ、休日だとか」
裕也「いや、だからね(汗)」
男子生徒D「おい、また藤波先生と一緒いるぜ」
男子生徒E「くそムカつくんだけど」
昼食時。
ふたり(理々と裕也)は食堂へ行かず、講習室に居た。
裕也「君ね、受験終わってから・・・」
両手の平を向けて、やんわり断りのポーズをする。
パン・オンラインの誘いである。
裕也『え?だって、他にいるでしょ。○○さんとか○○君とか・・・』
理々『せんせーじゃないと駄目なの!』
少し前の会話。
帰り。
だいぶ暗くなっている。
理々「あーじゃあ、○○ラーメン食べに行きましょうよ!」
帰宅時だ。
(裕也は早めに帰る予定だったのだが、待たされた)
理々「へっへー♪藤波せんせなら誘いに乗ってくれると思ったンだ」
・・・
裕也は複雑な顔をした。
理々『私のお母さん、すごく可愛いものが好きなんですが・・・
そこのゲームセンターで可愛いものが、、ぬいぐるみとかなんですが』
裕也は急いでティッシュを探した。
理々は袖で涙を拭いて、言った。
『げ、現実とは、、比べ物にならない程すごいもので。
お母さんの、、喜ぶもの、、あげたいのです。
いつも、、優しい人で、、』
裕也はティッシュを差し出す手を止めた。
ほ、本当は、これをあげるためだったの。・・・なんて
よよよ喜ばせてっ あげたくて!
現。
裕也「(この・・・千両役者・・・)」
目の前では楽しそうに理々が軽やかに歩いている。
ズズーッとラーメンを食べながらふたりは語り合った。
裕也「うん、それ知ってる」
びっくりして理々が言う。
「あ、あの。あの物語?」
ズズーッ 最終のスープを飲む裕也。
「妃羽とかそういう人物が出てくるやつだろ?」
理々「はい・・・」
しばしのおしゃべり。
「俺さ、何となく分かった(オチ)」
と裕也。
・・・
な
「な何ですか?・・・で、でもネタバレか」
サッと向き直る理々。
じゃ、私こっちなので。
俺はこっちだから。
(駅が違うのに何故一緒に帰るのか)
裕也「(とうとう無理矢理誘われてしまったが
まぁどうにかなるだろ
強引な子だよなー・・・)」
テクテクと暗い道を歩く裕也。
「まー、判定ほとんどAなのね
さすが理々ちゃん」
「ママ・・・(汗)」←お母さん、ママ両方呼んでいる
母親「藤波先生?あの優しそうな」
理々「うん」
ピンポーンッ
「あら、誰かしら」
呼び鈴が鳴った。
女性「こんな時間に御免なさい
○月に演奏会があって。
午前中お留守だったから」
母親と女性は話し合った。
母親は音楽をやっていて、あるオーケストラに所属している。
母親:フルート、女性:トロンボーンである。
女性「音楽はやはり良いですね」
ピシッ!
さりげなく聞こえたその言葉に固まる理々。
(それだけが何故か聞こえた)
その日の天気は快晴だった。
「わっほー、先生っ!」
大きく手を振る理々。
「やあ」
小さく手をふる裕也。