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小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」

逆らってでも

花宇「はい。私はそう思います」

魏家。威俐私室。

椅子から立ち、背を向けて窓に向かう威俐。
「守っている」ポーズだ。

威俐「何故そう思う」

・・・

説明が難しいのと、当主の部屋にいて大事な話をしているという要素とで
混乱する花宇。

しかしやっと心を取り戻し。(そこまで

「私が、そう思うからです」
と凛として言った。


威俐「もう、去りなさい」
穏やかに言う威俐。


花宇「逃げるんですか?
私はただ」

逃げる?
私が?

険しい顔をして威俐が言った。

虎のような恐ろしい目。



少し前―・・・。

威俐「何?」

話そうかどうか迷ったのですが、と花宇。

先に妃羽とのことを切り出した。
「早い結び付き、おかしいとは思いませんでしたか」

「婚姻とか離縁とか。変でしょ」

少し言葉づかいがくだけている。

外からは何の音も聞こえず、ドアの外(花宇の後ろ)からも何も聞こえず・・・
無音の状態が続いた。

もしかしたら、花宇(と威俐)だけそう感じるのかもしれない。

この世界は。
妃羽さんが作り出した、作りものの世界です。

「でも」と花宇。

「操り人形」である私たちが力を持って
プログラミング?を阻害・・・歪める形になっている。


威俐は普通に黙っている。


花宇「(?気付いているの?一体・・・)」

威俐がくるりと振り向いて言った。
「さ、もういいだろ。
現実の話をしよう」


少し思い詰めた顔をしたのを花宇は見逃さなかった。

「あなたの、思い通りにしませんか。
動かされるだけじゃ、癪ではありませんか?」


カチャンッ!

何かが落ちて壊れる音。


花宇と威俐は音のする方を見た。

花宇「今何か」

威俐「いい!放っておけ 後で見る」

・・・
花宇は緊張で目をうろうろしている。

「(男だったら、凛としていられるのかな・・・
こういう場面で)」


威俐「おまえが言いたいのは」

「私が操られていて、その力に反発して想定以上に妃羽に近付いた。
『力』への反発でバグが起こった」

・・・そんなところか
と冷静に言う威俐。


「・・・もの、でしか人を見られないあなた様が、やっと人を「ひと」として
見ることが出来るようになって・・・。普通に、妃羽さんと一緒になったと思います。

この早さは変です」

力に反発して、
それでその反発する力が「妃羽への早すぎる近付き」という異常?行動に繋がった。


威俐「それで。おまえは私に何をやれと言うんだ」

花宇「反抗、です。力に抗って自分のシナリオ?を
作る・・・」

フッ
ばかにしたように笑う威俐。

「寝言を。変なことを言うのも一興だが、長すぎると疲れるね
楽しかったよ」

・・・

(しばしの言い合い)


腕を組んで威俐は言った。(負けた)

威俐「おまえは、私が妃羽を想っていないとでも」

もの、だと思っているのだと
そう思ってるのかな。



冒頭。(長い)

花宇「はい。私はそう思います」


(言い合い、第2ラウンド)


威俐「おまえの正体は・・・?」


「私はA層の人間、花宇です」



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