小さな世界 > 第2章「パン・オンライン」
杏仁ランチ
引き続き。威俐私室。
(宇宙空間)
さすがに目が点になって肩の力が抜ける威俐。
「A・・・層?」
慌てて花宇が説明する。
「あ、えと。その。たくさん『層』があって。
支配する側とされる、、
あー、「創る側」と「創られる側」というのがありまして
あっそれで」
無視して、先程「カチャンッ!」と何かが割れた音がしたと思われるところへ行く威俐。
・・・
ん?
威俐は何か細長い小さな金属を手に取った。
「パン・オンライン、会員ID:xxxxx 名前:ファウー(花宇)」
わーっ
花宇が慌てた。
「(何であんなところに。・・・警告?「あの方」が・・・)」
ゾクッ
カチャッ
ティーカップを鳴らす威俐。
屋外の休憩所のような場所で話すふたり。
威俐「もういいよ。話面白いし、聞くよ」←だらけてる
・・・そういうことで話が続行された。
花宇「(普通ならもう追い出されてるはずなのにこう、ってことは
やはり、、何かを知ってるからなのよね・・・)」
ズーッ(お茶)
「パン・オンラインて?」
聞く威俐。
あ
えーと
花宇は説明が難しくて頭の中で整理した。
威俐「それって」
パン・オンライン。
太古の昔にあったとされる、幻の三次元仮想空間のオンラインゲームである。
本名でしか登録出来なく、セキュリティ万全だったとされる。
「実在してたとはな・・・」
何故か花宇の話を信じている。
おまえの話を信じている訳じゃない。
参考として聞いている。
一階層上が『パン・オンライン』。
おまえが昔いたところ、か。
警戒するように言う威俐。
・・・?
「(疑ってないようだけど・・・?
信じた振り?
あ、、上の層の人間は支配力があるから、それで・・・イヤな言い方だけど。
威俐様・・・)」
花宇は思った。
花宇「そういえば・・・
あっちではここは『作りものの物語』ということになっています」
ジュ~ ジュジュ~
パチパチッ ジュ~ッ ジャ~ッ
お昼時。
野菜を炒め、肉を焼き、ふたりはのんびりともぐもぐランチを食べた。
(平和なひととき)
もぐっ
「先程は済みません。あの、、妃羽さんと威俐様はとても素敵なんです。
幸せになって欲しいんです。って、変な言い方ですね。上から目線?」
あまり聞いてない威俐。
雑誌に夢中。
携帯を2つ持っていて、それが鳴るか気を配っている、で集中が出来ていない。
鴻日『あなたは気付いてらした』
・・・
・・・
「(あの日の、鴻日の言葉)」
『知っている。ここはユートピア(桃源郷)。妃羽のな)』
鴻日『それならそれで。ですが、暘谷さんにバグが起こりました。
あなたと同様・・・』
「威俐様?」
花宇が声を掛けた。
ハッ
我に返る威俐。
チュ~ッ
「この杏仁ジュースおいひー」
花宇が美味しく飲んでいる。
威俐「(混合飲料水に杏仁ジュースも・・・ってそうじゃない)」
ガタッ
立ち上がり、雑誌をテーブルに置いて威俐は歩いた。
「A層ってなんだ」
「一番・・・上か」
ガタッ!
みっともなく花宇が席から立った。
とんでもない!
「その世界の住人てだけで!
創造・・・主はいるんです。A層に。
ただ、何処の誰だか、、正体は丸っきり分かっていないのです・・・」
ピリリリリッ
運良く関係ない人間(恐らく仕事先)から携帯が掛かってきた。