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現代ファンタジー・創作小説



小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」

久し振りの

テクテク廊下を歩く妃羽。
左腕にはスケッチブックを持っている。

ぱたぱたと、朝の忙しい足音たちが響き渡る。

執事の正がいた。
白い廊下の、先にある一面窓になっている所である。


正樹さん
思わず声を掛ける妃羽。

近寄る正。
「ライチーですか」
「ええ」


パラララッ....

静かにスケッチブックを観賞する正。


あ、これいいですね。


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妃羽の私室。

妃羽「(やっぱこれがいいんだ)」

子供が描いたような感じのライチーイラスト。
しかし周辺には動物やら精霊やらがいる。

柔らかいタッチで、気に入っているものだった。

妃羽「(やっぱ正樹さんて私のコト、分かってるぅ)」


(そりゃ執事なんだから(しかも大家)何でも見抜かないとダメ)



むすぅ~っ
カツンカツンッ

花宇はむすっとしていた。

カチャッ カチャッ

・・・
切れているお香を新しいものに替え
手早く揃える。


『愛。愛だ!うん』

ガッツポーズをしていたかつての自分。

「(妃羽さんに何も伝わってない)」


悩んでる割にはサッサと効率良く仕事をする花宇。(有能!)

ふぅ、額の汗を軽くぬぐう彼女。


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真夜中―・・・


コツコツとある廊下を妃羽が歩いていた。
左腕にはユウ。右腕にはスケッチブック。

やっとある扉に着く。

コンコンッ

ノックをする妃羽。


威俐がいる。
いつもの余裕のある顔をした威俐ではない。

「座れ」


椅子に座るふたりが見つめ合う。

顔を下に向ける妃羽。
「その猫は・・・」
驚いた顔の威俐。


飼い猫でして。
ちょっと飼ってるんです。
説明する。

「はずせ」
険しい顔で言う威俐。


トンッ
やれやれ、という感じで妃羽から降り、ドアの所にビシッと座るユウ。


妃羽がドアを開けようと立ち上がった。

スタスタ
ドアを開け、ユウを外に追い出す威俐。

くるりと妃羽の方を向く彼。

ビクッ
鋭い眼光に驚く。


お茶を飲みながら、「何しに来た」
という威俐。

私たちはまだ離れていなければならないはずだ


少しの間、ふたりは遠くに部屋を持つということになったのだ。


ライチーの絵を見てもらいたいのはおまけで、、
緊張で声が詰まって声が出ない妃羽。


威俐のティーカップを見て、
「(これが暘谷さんだったら今頃煙草吸いにベランダに行ってるのだろうなぁ)」

・・・と思っていた。


ハッ
「(違う 私が好きなのは威俐様。何とも思ってないけど(思ってないけど)
別の男性を思い出すなんて・・・)」


その様を、威俐がずっと何とも言えない様子で見ていた。



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