小さな世界 > 第4章「global」
飲んで。
良く「聖女」とかそういう言葉があるが、
大袈裟とかではなく愛花の母親はそういう感じの女性だった。
可愛らしい感じとか
お淑やかな感じとか
優しそうな感じとか
綺麗な感じとか
全然違う。
愛花「(面白いな・・・
良く親父はそういうの捕まえたな)」
父親も知らない訳だが。
汚れが無いという意味でもないし
美しいという意味でもない。
聖母マリア。
つまり「母親」そのもののような女性とでもいうのだろうか。
バボ~
バブルのボトルのモニュメントがたくさんあり、可愛らしいイカのモニュメントが飾ってある
(女性中心に)人気のあるでかい公園である。
裕也「あのイカのところで飲もうか」
理々「もっとロマンチックなものにして下さい!」
エンペリシャスの薬。
5つあるのだ。
愛花が飲んでも4つ余る。
裕也「残ったやつはきっと、飲むべき人が必然的に見つけるよ
だからどこかに封印しておくのもいいね」
理々「先生!エンペリシャスになると、ヴェステグアータが使えるんですよ!」
ヴェステグアータとは、D層のナイトライド氏が使っていた、
騎士の『斬』の心を凝縮させ、地下のマグマと溶け合わせ、地上に一気に出して
敵を粉砕させる技である。
余りに破壊が激しいため、使用者は『何故その技を使用したのか?』という詳しいレポートを
国王、教皇に提出しなければいけない。
そしてすっぽかすと前科がついてしまう。
理々が笑顔で言った。
「快晴の日に、エンペリシャスになりに行きましょう♪」
私はまだなれないけど
裕也はガッツポーズをした。(振り)
薬さえあればエンペリシャスになれるわよ
と愛花。
ええっ!!
同時に声を出す理々と裕也。
サクサク草むらを歩いてから理々は言った。
理々「エンペリシャスになったら勝負しましょ!」
少し挑発的な顔だ。
頭を掻き
「おっほー、頑張るよ」と言う裕也。
本当は、理々も裕也も顔が強張っていた。
最高レベルになると言うことは、理々がラスト・ボスと勝負しなければならない、ということと同意義だからだ。
理々が絶対に倒さなければいけない世界。
誰も助けられず、ひとりでクリアしないといけない。
肉体的なストレスも疲労も、精神的な略も相当だろう。
勘の良い裕也は理々の苦労やら苦痛やらを予想し、自分のことのように苦しくなった。
タタタッ
理々は走り出し、噴水のあるところに行った。
「これ、フロスティ~」
微妙に凍りかけている水を噴水にしていて、
且つ可愛いマンモスのモニュメントがある。
(もう・・・)
裕也「君は、ここ?もっとペンタゴンとか(※名所)」
結局、裕也も理々につられて「フロスティ~」で薬を飲んだ。
詰め合わせの苦痛を味わった後に、やっと立ち上がったふたり。
女の子「キャーッ!あのふたり超カッコイイーッ!」
父親「おー、こりゃこりゃ」
男「なんだよ~あれ~」
男2「男も超いいじゃん!」
女性「・・・きれい」
男性「ヒュー、何かの撮影?」
ジョブチェンジで容姿なぞ変わる訳がない。
単純に「自分は強いんだ」という無意識の自信(無意識、がポイント)が
自身を輝かせるのだろう。
プラス、ナイトライド氏の取り計らいもあるのかもしれない。
(次はお化けみたいになるとか、ひげ付けてるとか)
理々「愛花さーん
愛花さーん」
裕也「あいーかーさーん!あいーかーさーん!」
何処にもいない愛花を探す理々と裕也。
「まさか事件に巻き込まれ・・・」
などと顔を見合わせたが、彼女なら大丈夫か、と思った。
「なに?」
草を踏む音がした。
!!!!!
倒れそうな理々を、裕也が支える。
そこにいたのは、骸骨の番人だった。
死神、ハーデスがそのまま騎士になったような
気持ち悪く、、恐ろしい姿。
愛花だった。