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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第4章「global」

武忍

魔法使い(仙人とも呼称)の世界、B層。

ルーリーという魔法使いの大屋敷。

彼女はC層~G層の人間たちの夢に夜な夜な現れ、罪悪感というものを植える。
その人間が悪いことをすると・・・

ただ、その人間の精神性が低いと、ルーリーはその人間の夢の中に入れない。


逆に、良い人間に対しては『夢を消す』。
夢を見る、という行為が「とても疲れる」からだ。
しかし重い夢の場合は中々消滅しずらく、これが中々骨が折れる。


夢は人間の「無意識の領域」だ。
そこを操作する魔術を使うルーリーは相当位の高い魔術師であった。


ガチャッ
その日はルーリーが休息に設定している日で、竹流を呼んだのだ。

竹流は「シュンユー」という魔術師のパートナーである。


・・・

竹流は「ルーリーが書いた本」を読んでいた。
ここでは羽ペンのようなものが勝手に紙にさらさらと書いてくれる。
(手動で書くことも出来る)


C層で知り、、すっかり気に入ってしまった「インスタントコーヒー」を飲む竹流。

「なかなか、興味深かったよ」

ルーリー「日本て国の『武士』と『忍者』。いいでしょ♪」

竹流は最初「(もしシュンちゃんだったらデザイン凝るんだろうなーもっとキレイなの作るんだろうなー)」
などと全く関係ないことをズズーッと飲みながら考えていたのだが、、

「僕は最初『武士』が良いと思ったんだけど、『忍者』の方が好きかな』

(訳:武士の方が好きって言ったら俺カッコ悪い)


でぇ
「それをね、良い要素のものを、たけちゃんの力で
B層~G層に落としていって欲しいんだ♪」
ルーリーは言った。


ルーリーはB層住人のためB層そのものへの影響は出来ない。
C層~G層のみにしか出来ない。

が、「ホラぁっ♪たけちゃんはぁ、A層でしょぉ?出来ると思って♪」


ちょっと七匹狼(中国煙草)吸って来て良い?

席を立つ竹流。



バンッ! 傍にあったテーブルを叩き信じられない顔でルーリーが言う。
「た、煙草ってどういうものか知ってるの?下の世界で嗜好されている
ご、合法的!麻薬!そんな!(←取り乱している)」


竹流「違うよ?7つの層を走る狼。「七匹狼(チーピーラン)」は7つの層を繋げるもの。
煙草は煙草だけど」
笑顔で言う竹流。

バンッ!!
再度ルーリーがテーブルを叩く。

「煙草吸うくらいなら私っ!」
彼女が目をつぶった瞬間、

竹流が右手の平に一本の煙草を載せて、差し出した。

ルーリーが震えながら目を開ける。

竹流「でも、これ好きなんだ。美味しいしね。健康に悪いなら
それはそれで仕方ないよ」

ルーリー「っは・・・・はぁ??」

後ずさりするルーリー。
すでに気持ち悪いものを見ている顔をしている。

竹流「暘谷だって好きなのに」←呆れた顔

「健康に悪いのは、『悪』じゃないよ。
健康に悪いことで楽しいことがあったりする」

「ルーリー」

竹流がハッキリと言った。

はぁっ?と思わず後ろにこけそうになる格好になっているルーリー。

「どれだけ出来るか分かんないけどさ、7層やっとくよ」


・・・・・・

いつも通りの大きな雷。


ゲホゲホゲホッ!!

竹流「おっ、おっと、だ、大丈夫?」

頑張ってルーリーが七匹狼を吸っているのを見守る竹流。


シンシア!トゥン!

「まだ弱いか・・・」

シュラーハッ!!

竹流が魔術っぽいものを唱えた。
2番目の時はかなり苦しそう、かつ何とも言えない顔をしていた。


おっ
ルーリー「オオーッ?・・・キャア♪美味しい
フレーバー?」
白い霧のような優しい煙が出てくる。

清浄されるような空気に驚くルーリー。


シュラーハ:口から摂取する依存性のある物質を、全部良性のもの、健康に良いもの、香りの良いものに変換。
その時の依存欲求の摂取をすっかり満たしてくれる魔法。
これそのものは依存性がない。


竹流はA層の魔術師である。
魔術師がはびこるB層の、さらに一歩上の魔術師がいかに凄まじい魔力を持っているかは想像に難くない。

彼が世界を善にしようとすれば、恐らくほとんどの悪人が罪悪感で自滅していくだろう。
(言い過ぎだ)


自身が能動的にどうこうすれば世界が変わってしまうため、主に見守るのが竹流の仕事である。


プク~ッ
ルーリーが少し色っぽく七匹狼を(ストロベリー味で)味わう頃、


くるりっと背を向けて『武士』と『忍者』の書き出しやりますか。
と竹流が言った。


ルーリー「(何で突然こんなの書きたくなったんだろ?そういえば)」
遠くを見つめるルーリー。



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