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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第4章「global」

5層まで

C層の世界にあるような大きなホール。

竹流が少し大きくピアノを弾いた。

.....

『レ・ミゼラブル』の「夢やぶれて」

息を切らさずに、シュンユーが歌った後、曲を紹介した。



じわっ

ぼろぼろぼろぼろ

花宇「あーっ!あーっ・・・あーっ!」
最後は目をつぶり、彼女は両手で顔を覆った。


予想していたことなのか、竹流とシュンユーはその様をじっと見ていた。


竹流が駆け寄る。

花宇さん大丈夫?
ガタンッ!
席に足をぶつける竹流。

彼女の傍に寄った後にキョロキョロして、
「拭くもの持ってくるね」と去って行った。


主がこういう風にしたの。
「音楽」を私の中に。

「正確に言うとB層全体だけど」


シュンユーは説明した。

A層の「主」は自分なりの様々な価値観の元、B層を創った。

こうあればいいな、とか意図的なものでそれぞれを創ったが、唯一意図しないものが
層たちの中に影響していった。

それが、シュンユーの「歌」だと。


こんな風に上手く最高に歌いたい、という願いが、すぐ下のB層の主人公「シュンユー」に影響したのだ。

主は全くそんなつもりはなく、勝手にそうなってしまった。


主の願い、心。G層を現実にしたいという謎・・・の目的。
血の沼で歌うような叫び。

主は歌が上手いのかそうでないのかは不明だ。
歌うことは嫌いではないようではあるが・・・。


シュンユーは主の創造力によって偶然にも「その凄まじい歌の力」を授かってしまった。


スッとホールの入り口から竹流が出てきた。
「上手いよね、シュンちゃんの歌」


スタタタッと花宇の元へ行き、ハンカチのようなものを渡す彼。


「・・・元々の私の能力じゃないわ
まぁ、音楽はいいことだけど」
横を向いてテクテク歩き出すシュンユー。


「分かったでしょ?」
くるりと花宇に向き直るシュンユー。


シュンユー「私の歌が・・・5層に響いたの。
上から流し込むように、ね」


あ"-っ!
花宇が面白い感じで驚いた(どんな感じ・・・)。

花宇「・・・私の、、清子の時のC層の・・・
音楽が妙に世界にはびこっていたのは・・・」


笑顔で(←貴重)シュンユーが言う。
「Well said!(ご名答!)」


ホールの電気がゆらゆら動いているように見える花宇。

花宇「(疲れてるのかな)」

竹流の声もシュンユーの声も震えているように聞こえる。


たけちゃん、説明して。
とシュンユー。

んっ と一呼吸する竹流。

「要はぁ、あのシュンちゃんが、音楽、歌か。
歌を歌ってた。
たまに杖とか振りながら。
暇潰しとかにも歌ってたよね?」

「うん」

えっとここB層だから
すぐ下?のC層、に影響しやすかった。

花宇さん、「サヤコさん」の世界だよね?

花宇「は、はぁ・・・」


主の思いが歌となり、
その歌と、歌の魂(こころ)が5層全てに行き渡った。

特に一番様々なものが落ちやすい最下層「G層」に『歌の魂』が沈んだ。


歌=音楽。
歌の魂=A層の主人の「こころ」を歌ったもの?


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ひと息つき。

シュンユーが言った。
「後で、聴いてもらいたい曲が、ある
後で、ね」

花宇は目をつぶって、頭をソファーに倒した。



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