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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第4章「global」

夢の後

早朝。あまり寝付けなかったはずなのに早く起きて目をこする。

「(っあ、あれ、夢?)」
パッと横を見る夏彦。

ルーリーが清子のパジャマを着て寝ている。

・・・
我が身を振り返る。
自分は布団を敷いて寝ていて、
ルーリーは自分のベッドで寝ている。

「(そうしたんだっけ・・・
っておい
・・・・・・)」



そーっと自分の部屋を開け、ホットミルクを持ってきた夏彦。
下の階でミルクを温めてきたのだ。

ズズッ

少し飲む。

「(得体の知れないやつだけど、意味があるんだよな
多分だけど)」

1、力を授かる
2、何処かの層に送られる
3、意味はない

バチッ
電撃が走ったようになる夏彦。

夏彦「あっ」


気付くと、横ではすでに立った状態のルーリーが。

「気付いちゃダメよ ふふ」

右手を伸ばし、彼に向ける彼女。

「『終わった』後、ちゃんと服着替えるから。
パジャマありがとう♪」

彼女が何かをする直前に夏彦が叫んだ。

「俺の!記憶を消す。夢魔、だから・・・
人の精神?心を。分かんねーけど、俺の記憶とやらを、清子の記憶を
消すってことだろ!」

ルーリーは無表情で言う。
「うん」

「あなたには何故か、特別に『催眠』が掛かってないの。
全員が掛けられている「清子さんが部活で1週間いない」っていう催眠が・・・。

だから寂しいだろうと思って」


ギクッとする夏彦。


ルーリー「だから、来たの。
寂しいのを消すために」


先程からやけに腹の立つことを言われてる気がする、と夏彦は思う。

「(シスコンてことか?)」
汗をかく彼。


「アナタはー思ってる以上に清子さんが大好きなの。
変な意味じゃなく。
清子さんに強い力が宿ったのはそのせいよ
まったく」

くるっと背を向けるルーリー。
「大切にされたり、存在を肯定されると『存在』はどんどん強くなるの。
人間、に限らずね。ぬいぐるみそうだしー、人形だってそう」

夏彦「(変・・・)」


ペキンア・トゥン

その言葉を言った後に苦痛の表情を浮かべるルーリー。

「かったぁ!ガード固い!」
大声を出すルーリー。


ベリッ!
思いっきしルーリーからの空気の魔法の層を破る夏彦。


頭を押さえながら、少し考えて言う彼。
「清子への想いが、清子の力になっているのなら、消す必要ないだろう」

チリンチリン...

ブォォォーッ
飛行機の音

ワァァァ
カキーンッ

野球の歓声。音。



チリンチリン......

ソーダライチー飲料というのを飲むルーリー。

ルーリー「ホントにいいのね。寂しそうだったから」

夏彦「(そんなに?そこまで?)」


ルーリーは語った。
A層の主が夏彦が色々あるからと「辛さを取って欲しい」とお願いしてきたと。

開いた口が塞がらない夏彦。

フンッ
「あんまシスコンじゃないのつまんない 来て損したっ」


窓のところに行き、ふちに腰掛けるルーリー。
「また、会お♪」

次また、悪いことした人に悪夢見せたり記憶操作したりしないといけない。
たいへんー

とルーリー。

良いことをした人には『夢を見せない(体力使うから)』『負の記憶を曖昧にする』
のだそう。


魔法使いは慈善事業(C層の言葉で言うと)だ。
しかし魔法使いはそれを苦としない。
だからこそ、『B層』という尊い層にいるべき『存在』なのであろう。


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夏の課題に取り組みかかる夏彦。
「(やつらとバーベキューもあったな)」
同級生たちとの夏のイベントを思い出す。


空を何となく見上げて「(清子・・・)」とまた(また?)思ってしまう夏彦。



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