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小さな世界 | 現代ファンタジー小説

小さな世界 > 第4章「global」

繋がってゆく

女性2の家はとても豪華なのだが、一方でぼろぼろのスラム街に出てくるような貧しい部屋
・・・のように見えた。
とても美しく片付いているように見えたかと思うと、一瞬相当に散らかっているように見えた。


キレイなテーブル(たまに汚く見えるテーブル)に座り、花宇と女性2はお茶とお菓子を食べた。

女性2「BGMは極端に変なのになったり普通になったりするから掛けないでいるの」


しばらくして。

女性2は名乗った。
「彩海(あやみ)と申します。
・・・A層の「あの方」が私を色んな存在にしようとしてごちゃごちゃになったわ

キレイな物があったら、突然汚いものになったり、
色々。分かる?」

黙っていた花宇だが。
「分かります」と言ってしまった。


彩海はそっとお茶を継ぎ足した。
(不味くてももう平気のようだ)

トポポ.....


彩海「私の苗字は紫野、主のこだわりなのね」

『紫野 彩海』


彩海の憂いに満ちた表情にしばし釘付けになる花宇。


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D層の『秘密管理人、愛花』は
ふたつ下の、F層にいる。

E層、
F層には『秘密管理人がいない』。


花宇「・・・」

糸を通すために、D層の秘密管理人と接触しなければいけないわ。
行くには、ふたつ下の層に行かないとダメ。

うーん・・・
花宇は考える。

「えーっと
E層、F層に秘密管理人がいないのは何故ですか?」

全部が全部、「背骨」があったら返って固くなってバランスがダメになる
だからよ。
優しく言う彩海。


あのっ
すでに感覚が麻痺していたのか、立ち上がって花宇が彩海に聞いた。
「そ、その。それぞれ層には「世界」があって、ひとつの独立した
ひとまとまり?があります。
それで、他の層にそこから簡単とまでは行きませんが、
・・・すぐに行けるものなのでしょうか」

もっともだ。

花宇「(シュンユーさんだけが出来るとか・・・)」


主に命じられて、私がそれを担当することになったの。
B層の人たちも出来るけど。

ほへ?
思わず変な声が出る花宇。


「私は主から命じられて、7層間を移動させる役。になったの。
だから色んな層の色が混じる存在に」


コトッ
大きいミルフィーユとコーヒーを花宇の前に差し出す彩海。


下の層の人間が上に上がるのは、強い意志と願い。
そして私との「縁」が繋がること。

逆に上の層の人間が下に下がるのはすぐなの。
私を呼び出してくれさえすれば

ガブガブッ
美味しいミルフィーユを食べることに集中する花宇。


口元を拭き、話をちゃんと聞いていた花宇が聞いた。

「呼び出す?彩海さんを?」
後者のことを聞いている。



呼び出す、とはB層では「魔術」と呼ばれ、
D層やF層では「召喚」と呼ばれるもので
C層やE層やG層では「黒魔術」と呼ばれるものだ。



ざざんっ
少し外を散歩しよう、ということで彩海の家近くの海にふたりでやってきた。


しばらく裸足で砂浜のじゃりじゃり感を楽しむ花宇。


ひゅるっ
ざーん.......


愛花さんは、この世界では滅びて、ゲームの世界でしかない幻の騎士職「エンペリシャス」
になりたがってる・・・

エンペリシャスになる方法は分かってないけど、
彼女が現在いる『F層』じゃなくて
ここ、『D層』にあるの。

「愛花さんは知らない。
あなたに初めて教えた」


もしも花宇が愛花を『エンペリシャス』にすることが出来れば、
信頼関係が成り立ち、無事『糸』が通るだろう。



夜。

花宇は彩海の家に泊まった。

本棚の部屋がやけに気になって歩いていると

ゴンッ! 
と重い本が落ちてきた。

目を回しながら頭を押さえる花宇。


本を見ると

『Lily』

と書いてあった。


『神々の黄昏』を散々見てきた花宇はこの本、を知っていた。


「(愛花さんが読んでいた、「理々という女の子の物語」・・・)」

不思議な気持ちになる花宇。


先に何があっても結果それが無だろうとも
それでも歩き出す。みな、歩き出す
その姿こそが宇宙なんだ、と花宇は思った。



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