小さな世界 > 第4章「global」
エンペリ?
D層にある巨大な図書館。
そこにある様々な「古代の騎士職関連」についての本を読む花宇。
『フェンリルナイト』
『エンペリシャス』
名前だけは出てくる。
誰も読まないような奥の方に眠っている本。
その中に様々ことが載っていた。
「(・・・にしても、彩海さんがたくさん教えてくれたのは
D層の秘密管理人が不在で、どうしようもなかったからだよね・・・
有難い運命・・・)」
必然的にそうならざるを得ない『流れ』を
有難いこと、と受け止める花宇。
1時間後―・・・
すっかり疲れきる花宇。
「(午後2時から食堂。遅刻しないようにしないと)」
『糸としての任務を果たす』代わりに最低限の生活は保障される、という
約束があったのだが(A層&B層から)
何となく体の潤滑油が古くなりそうで、体を動かすことに精を出す彼女。
スッ
男性が花宇の机に手を乗せて言った。
「何かあったの?え、何これむずそうじゃーん」
?
知らない男性である。
え?とあたふたしていると
男性は言った。
「エンペリシャスはさーほら、俺がやるようなもんじゃん?
まぁちょっと弱いけどな ちょっと」
すっかり面白い訳の分からない雰囲気が漂った。
ワープする魔法でバサーッ!とマンモスがたくさん出てくる狩り場に連れて行かれる花宇。
花宇はがたがたしていたが、寒さと怖さで。
「か、帰して!あ、あなたは!プリースト(僧侶)系えぇえぇ」
ポチポチポチッ
男性は空間に操作画面を出し、キャラチェンジを行った。
マンモスは史上最強の哺乳類である。
今現在、(少なくともG層の概念では)地上で最も強いのはゾウと言われている。
その、ゾウの祖先の「マンモス」。がいかに最強か、略であろう。
!
バンッ!!
全身真っ黒、いかにも強そうな騎士が出現した。
マンモスたちは動かず、しーんと留まっていて
真っ黒い騎士も静かにたたずんでいた。
!と
ヌルリニャー!!!!
グアタタターゴ!!!
空からマンモス以外の良く分からない変な鳥たちまでやってきた。
「どうしようかな」
ぼそっと黒い騎士がつぶやき・・・
マンモスたちが襲って来て、テキトウに全部かわしていっていたところ
先生!
突然、何処からか金髪のプリーストの女性が遠くからやってきた。
女性「どーしたんですか!格好良い!」
男性は慌てた「クエスト(課題。任務のようなもの?)の最中ですか!」
女性「はひ!」
ガーッ!
バコッ!!
話している最中にマンモスが女性に攻撃・・・
女性はうぐっと血を吐きすっとんで行った。
普通ならテレポートで上手く敵をかわすのである。
男性「てめぇらさ。やっちゃったね」
騒がしくなる男性の周り。
男性は剣を落とした。
片手でマンモスの首を軽く締め上げた。
泡を吹いて即座に目が充血するマンモス。
スッと高く持ち上げてしばらく静止した。
ディスインテグラートワー(分子破壊攻撃)
いつぞや、フェンリルナイトである裕也が使っていた技(実力!)だ。
シュッ
最後に右手を左から右へ横にスーッ!とする動作をした。
大きな太陽のようなものが地面から抜き出て、
ど~ん、とモンスター全員天国へ行った。
ま、ギリでやつけられたよね。
と男性。
花宇「(ちょっと待って。この世界はエンペリシャスは無い・・・は・・・)」
あ!
花宇が立ち上がった。
「食堂!!時間遅れちゃう!あの、また!」
シュンッ とアイテムを使って都市に戻る彼女。