小さな世界 > 第5章「知られざる」
今までの
引き続き、魏家。
花宇はある場面に遭遇した。
屋敷の中にある、増設の場所の建設現場。
コンクリートが建って少し経ったぐらいの場所。
人の声が聞こえる。
女性の声と、男性の声。
花宇は警戒した。
「(建設中の場所に?今日は人はいないはず)」
不審者かと思い、その場所まで行ってそーっと中を伺った。
花宇「!」
後姿は「妃羽」である。
男性は白衣姿だ。
男性「君だけだよ。分からない?」
??
あまり悪い感じのしない花宇。
何故だ。と自分でも思う彼女
・・・
!
ずっと隠れていたが、
妃羽が去って行った後、白衣の男が消えたのだ。
・・・と思ったら
猫になったのだ。
ぱさばさっ!
白衣や衣服が落ちる。
掛けていたと思われるサングラスが カッツーン と床に落ちる。
・・・
花宇は冷静にサッサとその場を離れた。
花宇「(あの人も、「主」の命令を受けて妃羽さんのところに来た人(猫)なのだろうか)」
じゃぶじゃぶっ
染み抜き洗いをしながら、うーむと思う花宇。
「(おっラベンダーの良い香り♪)」
じゃかじゃかっ
じょこじょこっ
「花宇さんその辺にしておいていいから(汗)洗いすぎよ」
召し使いAが言う。
・・・
カリカリ.....
貯蔵庫を調べ、食品管理のメモをする花宇。
「(日用品の管理ももうすぐ月1の時期だ。あ、文房具だっけ
あ、それは召し使いCさんだったかな、、)」
花宇「え」
昼食時。
花宇は「愛衣(あいいー)」という召し使いと仲良くなった。
愛衣「妃羽さん、覚えてる?
あの人がどうやらここに来るみたい」
・・・
花宇「・・・ってあの臨時召し使いの?」
ガチャッとティーカップを置く花宇。
臨時召し使いの「侯 妃羽」を、魏家跡取り、威俐が見初め、
この度妻として迎えるらしい。
最初は、当然身分の問題で揉めていたが、押し切った?とのことだった。
あっははー(汗)
「私らとは何の関係もないけど」
と愛衣。
じゃぶじゃぶ
「(さっきの建設現場、何だったんだろう。
猫も謎だし。
もっと、見ておくんだった)」
愛衣「あれ、花宇さん大丈夫?」
帳簿付けの見直しをして、全て終了してから花宇はふと思った。
・・・
花宇「(両想いなのかな?それなら幸せだよね。威俐様良い人だし)」
『約束だよ!わしを幸せにするんだ!』
クスッと笑う花宇。
「(大丈夫。何とかなるでしょう)」←ポジティブ
両想いだといいなー。
「(断っていた場面見たけど、変な意味じゃないよね)」
召し使いA「花宇さん!ぼーっとしてないでっ!」
妃羽は「幸せなはず」なのにどことなく諦めているような、冷めているような
そんな表情を常にしていた。
この幸せは嘘だから、早く逃れたいという強烈なオーラが漂っていて、
花宇はハラハラしていた。
同時に、深い愛情を威俐からも妃羽からも感じていた。
ただ、威俐の愛情が機械的でおかしく、妃羽の愛は空想的すぎておかしかった。
これもバグなのだとしたら、意図的に何かの力が無理にふたりを結び付けようとして
その力に対し、威俐も妃羽も無意識に反発しているから、だと花宇は思った。
「(まず鴻日さんに接触するのが第一なんだけど、会うのが難しそうだし。
口実が分からない・・・
妃羽さんを見守っていたい おばあちゃんどうの、以外ででも)」
でも。きっと何とかなるから。
だから大丈夫だよね。
花宇は、妃羽が威俐と離れることになった時も、そして暘谷の所に行くという時に見送った時も
何とかなるさー。と思っていた。